IVS(Intempora Validation Suite)- 自動運転向けセンサデータ管理プラットフォーム

ペタバイト単位のテストドライブデータを効率的に管理することで、認知アルゴリズム、フュージョンアルゴリズム、および経路計画アルゴリズムの妥当性を確認

IVSは、クラウド、オンプレミス、および世界各地の分散型ストレージアーキテクチャに保存されたテストドライブデータに対して分析、プレビュー、およびタグ付けを行えるクラウドベースのソフトウェアプラットフォームです。直感的なユーザインターフェースにより、関連するデータを容易に検出および選択し、独自のテストプログラム用データセットを作成することができます。

適用分野

自動運転車両の開発では多くの場合、世界中のさまざまな地域でペタバイト単位の実走データが記録されるため、パブリック、ハイブリッドまたはプライベートクラウドにおけるデータ管理コストは膨大なものとなります。ここでは、単一または複数のデータセンターに保存されたデータにどのようにアクセスして分析し、体系化したうえで関連イベントの自動的な特定につなげるかが重要な課題の1つです。つまり、既に記録済みのデータはどれか、冗長なデータを削減したり低コストのストレージオプションに保存したりできる可能性はあるのか、そして認知、フュージョン、および経路計画アルゴリズムのテストに必要なデータはどれか、といったことを理解することが重要です。

記録されたデータは、新しいソフトウェアリリースの開発やテストに積極的に活用されます。このため、開発者やITエンジニア、テストエンジニアは、テストの目的や重要性能評価指標(KPI)に従ってデータをフィルタリングし、データセットのカスタマイズを行います。また通常は自動化されたワークフローを用いることで、グラウンドトゥルースの抽出、スケーラブルな再処理テストの実行、仮想世界で追加テストを行う場合のシミュレーションシナリオの生成といった作業を効率的に行います。

主な利用効果

IVSセンサデータ管理プラットフォームを使用すると、世界中のデータセンターに保存されているすべてのテストドライブデータに同時にアクセスし、それらを管理することができます。IVSによりデータの内容を理解し、データの転送量を削減して、クラス最高のパフォーマンスでデータを処理すれば、自動運転アルゴリズム開発の時間とコストを削減できます。

IVSでは、次のことが可能です。

  • あらゆる場所からすばやくデータにアクセスして共有
  • AIベースの検出機能により、カットイン、カットアウト、追い越し操作、車線変更、重大なシナリオなどの動的な運転操作を含むシナリオを自動で検出
  • 実際の記録をコピーせずにデータを選択しプレビュー
  • 実車によるテストドライブとシミュレーションの分析、統計データの作成、冗長データと関連データの分類
  • データのフィルタリングとデータセットの作成
  • データ処理タスクの実行とワークフローの自動化
  • 既存のクラウド基盤と各種ツールをオープンなAPIを介して接続
  • テンプレート、ガイド付きワークフロー、およびRTMapsのグラフィカルな開発環境を使用して独自ジョブを開発
  • 場所を問わずに複数のユーザでタスクを同時に実行

dSPACEのデータドリブン開発および妥当性確認ソリューションに統合

IVSは、dSPACEのデータドリブン開発および妥当性確認ツールチェーンと密接に統合されています。たとえば、専用のジョブを使用すれば、dSPACE AUTERAデータロギングシステムで記録されたデータの一貫性を検証することができます。また、IVSのSensor Data Managementに密接に接続されたdSPACEデータリプレイソリューションでは、ソフトウェアやハードウェアの再処理が可能です。

さらに、IVSはSIMPHERAデータリプレイテストソリューションにシームレスに統合されているため、データセット、KPI、テスト対象システム、テストレポート、ダッシュボードを含むテストを総合的に管理できます。

機能 説明
概要
  • ウェブベースのユーザインターフェース
  • REST APIによるCI/CDの統合および自動化
  • クラウドに依存しないプラットフォームアーキテクチャ
  • クラウド/オンプレミスのハイブリッド開発をサポート
  • AWSやMicrosoft® Azure®にスクリプトベースで自動インストール
  • AWS S3、Microsoft® Azure® Blobサービス、およびセンサや車載バスデータに対応した多数のファイル形式(RTMaps、ROS / ROS2、MDF4、ADTFなど)をサポート
  • カスタマイズされた処理モジュールをDockerコンテナにより統合
  • 広帯域幅データストリームを最適化して管理
要件
  • Kubernetes
  • S3またはBlobストレージ
データタギングモジュールおよびシナリオ検出機能
  • 温度、降水量、雪、雨、霧、曇り、日光、夕暮れ、夜、低い太陽を含む天候条件
  • 交通参加者のタイプと相対位置、周辺車両や交通量などの交通状況
  • 道路カテゴリ、車線数、交差点、曲率、交通標識、速度制限、ロータリー、橋、トンネル
  • ジオリファレンス、地理的領域、GNSS位置
  • カットイン、カットアウト、追い越し、車線変更、交通への合流などの動的な運転操作
  • コーナーケース(最小車両間隔が特定の値を下回る場合など)
  • ヨーレート、車速、加速度、ブレーキ信号、方向指示器、ワイパー信号、ドライバーの手放し運転を含む、車載バスのあらゆる種類のセンサ信号を評価
  • モジュールのカスタマイズ
グラウンドトゥルースの抽出
  • UAIアノテータ用のインターフェース
  • オープンでドキュメント付きのAPIによりサードパーティ製アノテーションツールと接続
匿名化
  • UAI Anonymizer用のインターフェース
KPIエクストラクタ
  • 内蔵のKPIエクストラクタによる機能ベンチマーキングおよび回帰テスト
    • 2Dバンディングボックスとグラウンドトゥルース(ピクセル座標)の比較
    • 3Dバンディングボックスとグラウンドトゥルース(ワールド座標)の比較
  • カスタマイズされたKPIエクストラクタをPythonまたはC++を用いて容易に統合可能

IVSに関するお客様の声

「クイーンズランド工科大学で使用している自動運転車両は、多くの研究ラボや自動運転関連企業の場合と同様、走行中に数テラバイトのセンサデータを生成します。しかし、Intempora Validation Suite(IVS)により、識別性を高める特注アルゴリズムを既存のラベルに追加し、 効率的にデータを管理 および検索できるようになったため、プロジェクト関連の特定のコーナーケースに極めて容易にアクセスできるようになりました。 また、自動運転システムのソフトウェアコンポーネントを修正する際には、 AWSクラウドベースのデータ管理ソリューションによって実行済みの運転状況の矛盾を抽出できるため 、より広範囲での安全分析が可能です。」

Sebastien Glaser教授、Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)、クイーンズランド工科大学、オーストラリア

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