7.3では、多くのdSPACEツールにさまざまな新機能が追加されました。最も重要な新機能の概要を紹介します。
ASM 3.2/ModelDesk 2.5/MotionDesk 3.0
dSPACE自動車用シミュレーションモデル(ASM)が、カメラベースの運転支援システムに対応するシミュレーション向けに最適化されました。バーチャルな道路上に複数の車線を定義する新機能や車線認識のためのセンサモデルの追加により、レーン逸脱警告システムや車線変更補助システムの開発がはるかに容易になります。また、3DアニメーションソフトウエアMotionDeskと組み合わせて、カメラベースの交通標識認識機能を直感的にテストするシステムを設定することも可能です。たとえば、MotionDeskのバーチャルな空間に道路標識を直接配置することも可能になります。道路、運転操作、およびバーチャルな環境はModelDeskの分かりやすいGUIで作成し、交通標識はMotionDeskの極めてリアルなグラフィカル表示でリアルタイムに評価することができます。ASMは、MotionDeskと組み合わせることで、交通環境の現実的なシミュレーションやアニメーションをはじめとする複雑な交通状況をシミュレートするための包括的なソリューションを提供します。ASMはHIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーション用のオープンなSimulink®モデルやオフラインシミュレーション用の特別なOperator Versionとして提供されています。
ConfigurationDesk 4.2
ConfigurationDeskの新バージョンは、SCALEXIO HILシミュレータでマルチコアアプリケーションをサポートします。個々のモデルを各プロセッサコアで処理することにより、Simulinkにおけるモデルの並行開発が可能になり、ロードおよび初期化に要する時間も短縮できます。また、全体的なSimulinkモデルを1つ作成して、Simulinkで完全なオフラインシミュレーションを実行することもできます。この場合、各サブシステムは個々のプロセッサコアに柔軟に割り当てることができます。新しいビルド設定機能は、モデル固有の異なるビルド設定を管理するための便利な方法です。
また、従来のSCALEXIOボードのサポートに加え、新しいDS2907 Battery Simulation Controllerもサポートされるようになりました。
ECU Interface Manager 1.1
ECU Interface Managerの新バージョンは、大規模なコードでもECU変数やECU機能をすばやく直感的に検索するための拡張オプションを提供します。バイパスプロジェクトの設定や、コンパイル済みECUソフトウエアへのバイパスフックの挿入などの作業手順も、コンテキストメニューから容易に行うことができるようになりました。また、バイナリコードパーサが最適化され、非常に複雑なコード構造も評価できるようになっています。コード内にアクセスできないA2L変数がある場合は、ユーザに通知が行われます。