宇宙空間と同じ条件で行う地上での衛星モーションテスト
DFKIの研究者達は、288平方メートルのSpace Exploration Hallを使用して、宇宙空間で複雑なタスクを実行するロボットシステムのテストを行っています。
ドイツ人工知能研究センター(DFKI)では、新しいSpace Exploration Hallで、飛行システムの試験や衛星とロボットの相互作用に関する研究プロジェクトなどを実施することができるようになりました。このホールは、2010年11月にドイツ、ブレーメンにあるDFKI Robotics Innovation Center(RIC)に開設されました。進行中のプロジェクトの1つは、Innovative Technologies for the Relative Navigation (Motion) and Capture of Mobile Autonomous Systems(相対航法(モーション)および自律移動システム捕捉に関する先端テクノロジ)、略してINVERITAS)と呼ばれ、DFKIの研究者達は、この施設で2つの衛星の相対的航法のシミュレーションを行っています。衛星の挙動は、まずソフトウエアでシミュレートされ、次に高さ10メートルのホール内で実寸モデルを使った2つの運動システムによってシミュレーションが実行されます。この2つの衛星モデルは、実際の宇宙とまったく同じ条件下で相互的な位置関係を保ちながら運動します。このシステムには実際の衛星のセンサが統合されています。一方の衛星は相手の衛星に自律的に接近できようにケーブルガイドシステムに接続されており、もう一方の衛星はKUKA社製のロボットアームに取り付けられています。2つの運動システムは、それぞれ制限つきの9自由度(アップグレード後は10自由度となる予定)をもち、それらを組み合わせることで両衛星が制限なしの12自由度を実現しています。
dSPACEシステムは、HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーションシステムの中核を担い、衛星の挙動のソフトウエアシミュレーションを実行します。また、システムの自由度を12自由度から制限つきの9 ~10自由度へと変換します。さらに、2つの運動システムのハードウエアを制御します。
この研究は、主として廃棄され、または制御不能になった衛星(他の衛星に対して危険性を増しつつある「スペースジャンク」)の回収作業などで重要となります。
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