次世代のコネクテッドカー向け安全関連アプリケーションでは、V2X(Vehicle-to-Everything)ベースの協調認知を利用してインフラと車両センサデータを相互に共有することが可能です。これにより、車両はオンボードセンサよりもすばやく危険な状況を検出できるようになります。協調認知の代表的な使用例は、交差点を横断中の歩行者など、すべての交通参加者として明確に見えるとは限らない交通弱者を検出することです。交差点に設置されたV2X対応カメラや交通レーダーを用いて歩行者を検出したり交差点に接近する車両にその情報を提供したりすることで、起こり得る衝突を回避し、生命を守ります。
車両がセンサデータを受信し、周辺環境と共有することによってドライバーに起こり得る危険を警告するアプリケーションを開発するには、地域のさまざまな規格やテクノロジを考慮しながらV2X通信を統合することが必要です。車両独自のデータを他者と共有するには、V2Xをカメラやレーダーなどの車載センサと適切な方法で組み合わせ、検出した物体をオブジェクトリストなどによって提示できるようにする必要があります。また、車両がV2X経由でセンサデータを受信する際には、ドライバーに対して危険な状況の警告を遅れずに発することができるよう、このデータストリームをGNSSの位置とタイミング、さらには車両のステータスデータとリアルタイムに同期する必要があります。
マルチモーダルセンサの開発および実行フレームワークであるRTMapsを使用すると、必要なすべての車載センサやV2X通信を組み込んで、非同期データストリームを管理し、必要に応じてそれらを提供することが可能です。これにより、簡単なマウス操作と最小限の設定作業でコネクテッドカーの安全関連アプリケーションを迅速にプロトタイピングし、すばやく開発を行うことができます。必要なコンポーネントは、市販の既製(COTS)ライブラリからドラッグし、ダイアグラムに追加して、アプリケーションに接続するだけです。V2X通信用のこのライブラリには、欧州、中国、および米国 1) といった地域向けに選出された、最も関連の高い標準タイプのメッセージが含まれています。これらのタイプの中には、CAM、DENM、C-BSM、(C-)SPAT、(C-)MAP、またはセンサ共有の専用メッセージタイプであるCPM(協調認知メッセージ)などもあります。dSPACEの車載用プロトタイピングプラットフォームであるMicroAutoBox Embedded PCやAUTERA上でRTMapsを用いれば、簡単なボタン操作でアプリケーション全体を直接開発し実行することができます。これらのプラットフォームは、各種の車載バスやセンサを接続するための多数のインターフェースを備えています。この環境でのV2X通信は、waveBEE ® と当社パートナー製の接続ボックスを介して、確立されます。お客様が選択できるテクノロジはC-V2X(PC5)またはDSRC(802.11p)です。RTMapsに含まれている大規模なコンポーネントライブラリには、データをコンパクトな形でビジュアル表示(V2Xや車載センサのデータなどを一覧表示)したり、データレコーダ、プレーヤ、およびシミュレーション環境と接続したりするための便利なブロックが用意されています。これにより、プロトタイピングだけでなく、データロギングやデータリプレイも実行することができ、高度なV2Xベースの接続サービスを単一のツールでテストすることも可能です。
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