ADAS/ADプラットフォームの各種ソフトウェアバージョンのベンチマーク評価を行ったり、センサ認知およびセンサ融合プラットフォーム(ECU)の検証やリリーステストを行ったりするのは難しい作業です。シンプルな合成シミュレーションだけでなく、複雑な条件においてもセンサの性能を試験できるようにするには、さまざまな実際の環境やトラフィックシナリオでプラットフォームをテストする必要があります。そのため、このようなテストでは、実際のデータを使用することが極めて重要です。
データ・リプレイテストの際は、実車によるテストドライブと同様の方法でADAS/ADプラットフォームにデータを入力する必要があります。ここでは、センサデータやネットワーク/バスデータを含む異種のデータストリームを同期化する必要があります。単一のADプラットフォームには25個以上のセンサのデータが入力される場合があり、その帯域幅は40 Gbit/sにも達します。また、新しいADAS/ADプラットフォームではセキュリティ機能や安全機能の数が増大していることも大きな課題です。一部のプラットフォームは「反射攻撃」への対策を備えています。この機能は障害モードが自動的にトリガされた際に、記録されたデータへの直接再生が不可能になります。何千~何百万キロメートルものテストを短期間で確実に実行するには、このすべての課題を極めてスケーラブルな方法で解決する必要があります。
テストのスケーラビリティを有効にし、データ・リプレイテストに対応できるようにするためのシステムのモジュール性はdSPACEデータリプレイソリューションの中核です。このソリューションでは、サーバPCの容易なアップグレードによってさまざまな帯域幅要件に対応できるだけでなく、環境センサインターフェースユニット(ESIユニット)やSCALEXIOシステムを追加すれば、センサインターフェースやバスインターフェースを簡単に追加して拡張することができます。
また、これらのコンポーネントはすべてgPTP(generalized Precision Timing Protocol)により同期化されるため、データの同期入力も保証されます。SCALEXIOリアルタイムシステムでは、Ethernet(Some/IP)、CAN、FlexRayなど、すべての車載バスデータを低ジッタでリアルタイムかつ継続的に再生することが可能です。また、セキュリティ情報や時間情報により記録データをリアルタイムに調整することにより、ADAS/ADプラットフォームでの「反射攻撃」対策をテストし問題を解消することができます。環境センサインターフェースユニット(ESIユニット)では、幅広い標準センサインターフェースをサポートしているため、新しいセンサインターフェースとの調整も容易に行えます。また、オープンなAPIによって容易にシステム全体を自動化できるなど、スケーラビリティにも優れています。また、データ・リプレイテストに加えて、最小限の設定を行うだけでシステム全体をクローズドループシミュレーションに使用することもできます。
Intempora社のマルチセンサアプリケーション向け開発フレームワークであるRTMapsでは、総合的な2Dおよび3Dのビジュアル表示機能に加え、MDF4、rosbag、DATファイルなどの幅広いファイル形式で記録されたデータの同期ストリーム再生をサポートしています。これはデバッグや不具合解析の際に有用です。なお、XIL APIを使用すると、SCALEXIOやRTMapsでのリアルタイムアクセスが可能です。これは、再生データをdSPACE ControlDeskソフトウェアでリアルタイムにモニタリング、解析、および操作する場合に有用です。
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