電気自動車向けコントローラの最適化および検証
マンハイム大学のDelta Racing Teamは、2014年に完成した新開発のレーシングカーDR14-Eで学生フォーミュラ大会 電気自動車(EV)レースに参戦しました。チームは、フラデツ・クラーロヴェーで開催されたFormula Student Czech Republicシリーズへの初参戦で準優勝を飾りました。エネルギー効率のランキングでは、DR14-Eは一周0.068 kWhという驚くべき低燃費で首位に立ちました。
チームの成功の要因は、DR14-Eのビークルダイナミクスとエネルギー効率を向上させたコントローラの最適化にあります。DR14-Eは、駆動モーターを左右の後輪に分離して搭載しているため、アクティブな加速と減速が可能です。ここに、制御が介入できる新たな可能性が生まれました。特にコーナリング操作およびエネルギー効率の向上という面で、ビークルダイナミクス制御の潜在的な可能性が十分に活用されることになりました。
このようなアルゴリズム開発には、dSPACE ASM Vehicle Dynamics Simulationモデルによる早期の解析が有効でした。特に、ASM(Automotive Simulation Models)のモジュール構成により、制御設計を含め、チーム独自のトルクベクタリングコンセプトを容易かつ効率的に実現することができました。Delta Racing Teamは、このモデルを使用してあらゆるアプローチを検討したうえで、それらを車両のdSPACE MicroAutoBox上に実装して検証することができました。
開発プロセスを通して、車両モデルは完全にパラメータ化されました。この車両モデルは、Delta Racing Teamの次世代開発車にも使用でき、ビークルダイナミクス制御の最適化やさらなる改良に活用できます。ASMシミュレーションモデルは、スプリング/ダンパーの組み合わせの効果や空気力学的特性の最適化といった、これまで使用されていなかった機能のシミュレーションも提供しており、このような活用においても有用です。