発表日: 2016年02月12日 |
Mollie I. Minsel、アカデミックセールス担当者、dSPACE Inc.
dSPACE, Inc.の北米アカデミックセールス担当者として、私は限られた予算で最高の製品を求めているお客様から、価格、機能性、耐久性という一連の問題が提示されるのに共感を覚えます。
10年以上にわたり、その解決策となるのはdSPACE DS1103制御プロトタイパーでした。DS1103は依然として信頼性と利便性が高く、価格も手頃であるものの、2016年12月までのみの販売となります(dSPACEリリース2018Bまでハードウェアサポートを保証いたしますので、ご心配は不要です)。
しかし、物理的な機能、接続の容易さ、ホストPC/ノートパソコンとのシンプルな接続、ドキュメントなど、最も望まれる機能拡張を実現するための新しいシステムの開発により、2015年には、MicroLabBoxという新たなソリューションが市場に提供されました。
MicroLabBoxは多目的のラピッドコントロールプロトタイピングシステムであり、ラボ環境専用に設計された一体型の小型プラットフォームです。
MicroLabBoxの内部には、主力のリアルタイムデュアルコアプロセッサを内蔵したDS1202ベースボード、およびホストPC通信を管理する別のコプロセッサが含まれています。この仕様は非常に重要です。当社では、データの取得に起因する多数のホストPC間のデータトラフィックの影響や、プラットフォームの処理能力に与える影響について、お客様から度々ご質問を受けていましたが、
MicroLabBoxを使用すると、別のホスト通信プロセッサがフライトレコーダのデータ取得機能、ホストインターフェース、およびEthernet I/Oに対応するため、リアルタイムプロセッサをアプリケーションモデルの実行に専念させることができます。また、MicroLabBoxにはデータロギング専用のUSBインターフェースも含まれています。
MicroLabBoxには、他のすべてのdSPACEプラットフォームと同様にRTI Blocksetが含まれているため、制御アルゴリズムをモデリングしたり、SimulinkでMicroLabBoxのすべてのI/Oと機能に仮想的にアクセスしたりすることが可能です。さらに、Cライブラリを用いれば、MicroLabBoxをCコードアプリケーション用として使用することができます。
MicroLabBoxは強力な計算処理能力を備えています。この新しいシステムはデュアルコアプロセッサを搭載しており、最大2 GHzの動作速度を誇ります。MicroLabBoxは、DS1103またはDS1005と比べて最大で6倍高速にモデルを計算することができ、当社史上最速のプロセッサとなっています。この機能は特に中規模および大規模モデルに適しています。
プログラミング可能な内蔵FPGAにより、MicroLabBoxの機能はこれまで以上に向上しています。FPGAベースのI/O機能の重要な利点の1つは、高速な制御アルゴリズムを実装することができ、それをプロセッサボード上で動作するより低速のアプリケーションと並列して実行できることです。
標準のMicroLabBoxでは、FPGAが特定のI/O機能を提供するよう自動的にプログラミングされています。ただし、各ユーザはFPGAを個別にプログラミングし直すことで、FPGA自体で高分解能の高速電流制御ループを実現することができます。
FPGAはMicroLabBoxのI/Oの大半を制御する一方で、2つの電源の制御は行わないため、外部デバイスへの給電は別扱いにすることができます。また、FPGAでは高速CANおよびパーシャルネットワーキングをサポートするデュアルCANトランシーバの制御も行いません。以前に当社のプラットフォームを使用し、それらでCAN通信を実装したことがある方であれば、RTI CANまたはRTI CAN MMブロックセットをよくご存知のことでしょう。それらの同じブロックセットは、MicroLabBoxでのCAN通信をサポートしています。
MicroLabBoxに他のラボ機器を積み重ねたい場合や、単にデスクトップデバイスとして使用したい場合に合わせて、当社では2つのバージョンをご用意しています。
特徴
トップパネル:デスクトップ用
BNC I/Oコネクタ合計 x 48
D-Sub 9ピンI/Oコネクタ x 4
D-Sub 50ピンI/Oコネクタ x 2
32チャンネルのアナログ入力
前面パネル:他のラボ機器を積み重ねることが可能
次のように、MicroLabBoxは極めて幅広い分野の制御システム開発やテストに使用することができます。
多数のさまざまな入出力信号に対応するMicrolabBoxは、あらゆる業界および用途での制御アプリケーションに適しています。
RTI CAN Blockset:CAN通信はRCPアプリケーションで最もよく使用されています。このブロックセットを使用すると、送受信するCANメッセージごとに1つのSimulinkブロックを追加することができます。
RTI Electric Motor Control Blockset:機械式電動機からモーターへの移行が進む中、モーターの制御は今日では非常に一般的です。所定のプラットフォームで使用可能なサポートハードウェアによっては、EMCはMLBXのACMCブロックセットとみなされます。ホール、インクリメンタルエンコーダ、レゾルバなどのセンサは、モーターからのフィードバックを提供します。通常、これにはモーターの回転位置をすばやく計算する高性能のFPGAが必要です。
RTI USB Flight Recorder Blockset:USB大容量記憶装置を介したデータロギング用のUSB 2.0インターフェースには、別途RTI_USB_FRライセンスが必要です。データの取得段階では、このブロックセットを使用することでデータを記録し、後で再生や分析を行うことができます。
RTI Ethernet Blockset:Ethernet接続は、PCをdSPACEプラットフォームに接続するうえで現在最も一般的なホストインターフェースです。当社のお客様には、dSPACEプラットフォームと他のハードウェアデバイスとの接続を希望される方もいます。そのため、dSPACEでは、ホストPCのEthernetトラフィックの制限なしに複数のネットワークを設定できるよう、追加のEthernetポートを提供しています。
dSPACEは、学術関係のお客様に対するサポートを提供しているだけでなく、自動車、航空宇宙、医療、教育などを含む多数のお客様の業界における研究開発への貢献を重視しています。
また、大学の予算は厳しく、教授が学生を指導する競争力の高いチームであっても、ハードウェアやソフトウェアの入手のために助成金を申請していることを当社は認識しています。そのような環境への還元を行うため、当社はACE Kitを提供しています。この「Advanced Controls Education Kits」には、MicroLabBox、CDP(Controls Development Package)ソフトウェア、GNUコンパイラなどのハードウェアが含まれており、既に大幅に割引されているアカデミック価格よりも割安な価格でパッケージ化されています。
MicroLabBoxは既存のシステムとほぼ同じ価格で大幅なパフォーマンス向上を実現しており、これは将来的にも持続できる環境が整えられています。
最新の技術開発動向をつかんで、イノベーションを加速。
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