テスト性能の向上や市場投入時間の短縮を図りつつ、ソフトウェアデファインドビークル(SDV)の開発や検証を確実に行えるようにするため、General Motors社は、完全に仮想化された環境を新たに構築することにしました。これは物理的なテストシステムと遜色のないテストインターフェースを可能にするものです。同社が企図しているのは車両の中のありとあらゆる電子機器のデジタルツインを作成することにより、車両の電子コンテンツ全体をコンピューティングクラスタ上でシミュレートできる環境を実現し、手作業でテストを行うベアメタルマシン上と、回帰テストを行うクラウド環境のいずれにも適切に対応できるようにすることです。そこでこの目標を達成すべく同社は、dSPACEとKPIT社との協働を決行しました。バーチャルECUのテストに関するdSPACEの専門知識と、車載ソフトウェアに関するKPIT社の高いエンジニアリング能力を融合することで、スケーラブルで完全に仮想的なクラウド対応型の開発および統合テスト環境を実現することが目的でした。
そしてSOLEと呼ばれるプラットフォームを開発し、車両レベルのソフトウェア統合テストのセットアップをオーケストレーションして実行するための、主要な機能コンポーネントをすべて統合しました。
- バーチャルECUの協調的シミュレーション
- さまざまな協調シミュレーション手法を用いて、適切なプラントモデルをプラットフォームに統合
- 必要なすべてのテストツールインフラが整備されているので、さまざまなインターフェースAPIを介したシミュレータへのアクセスが可能
- 幅広い技術により、クラウドへのオーケストレーションやデプロイを実現
- 各種の規格に準拠したツールにより、必要な計測値やデータ記録ニーズのすべてに対応
このプラットフォームの中核を担うのは、dSPACEのSIL(Software-in-the-Loop)およびV-ECU統合ソリューションであるVEOSです。同社はVEOSを使用することで、すべての領域においてソフトウェアのイノベーションを成し遂げ、車載ソフトウェア開発の早期の段階でその妥当性を全領域にわたって確認できるようになりました。そしてこのことが有益なソフトウェア機能を短期間で市場に送り出すことを可能にしたのです。
General Motors社のご厚意により寄稿。
dSPACE MAGAZINE、2023年6月発行