将来の倉庫(Logistics 4.0)および工場(Industry 4.0)は、高度に自動化される見込みです。これらのコンセプトでは、厳しい環境や過酷な条件においても商品を2つの地点間で移動させることが可能な自律型モバイルロボット(AMR)および無人搬送車(AGV)が必要とされています。誘導式か否かにかかわらず、これらの運搬装置には安全上の理由から、人間や障害物を自動的に検出し、緊急の場合には停止するためのセンサを搭載する必要があります。
AGVとAMRには共通点がいくつかあります。いずれも、移動経路沿いの障害物を検出し、必要に応じて運搬装置を停止または迂回させることのできるカメラや超音波センサなどのセンサを搭載する必要があります。また、自動車分野で使用されるCANなどのバスネットワークも必要です。ただし、両者の重要な違いは、出発点から目的地までの経路を選択して進む方法です。AGVのナビゲーションソフトウェアはシンプルなものであり、適切に動作させるには現地のインフラデータを追加する必要があります。また、AGVはナビゲーションに固有のオンボードセンサを使用します。これらのセンサは、あらかじめ設定された経路沿いに設置されたトランスポンダ、物体の反射テープ、磁気テープや色付きテープなどの目印を検出します。これに対し、AMRはSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)などのアルゴリズムをベースとし、より複雑かつ過酷な経路に対応した計画およびナビゲーション機能を使用して、極めて柔軟な軌道計算を実行できるため、倉庫や工場のサポートインフラは一切不要です。認知およびSLAMベースのナビゲーションの要件を満たすため、AMRにはステレオカメラ、LiDAR、またはレーザースキャナなど、より高度なセンサが搭載されることも多くあります。
マルチモーダルセンサの開発および実行フレームワークであるRTMapsを使用すると、AGVおよびAMR向けアプリケーションの開発に必要な車載センサ、I/O、およびCANなどの車載バスを容易に統合することができます。RTMapsは、非同期データストリームを管理し、それらを認知、データフュージョン、および軌道計画アルゴリズムの入力として時間相関的に提供するよう設計されています。また、簡単なマウス操作と最小限の設定作業だけで、市販の既製(COTS)ライブラリから必要なコンポーネントを容易にドラッグし、アプリケーションのダイアグラムに追加してアルゴリズムに接続することができます。軌道計画およびナビゲーション機能の開発向けには、SLAMや走行可能路面検出、その他多数の使用事例用として当社のパートナー企業が開発した各種の専用アルゴリズムがRTMaps AI Storeで提供されています。そのため、dSPACEの車載用プロトタイピングプラットフォームであるMicroAutoBox Embedded PCやAUTERA上でRTMapsを用いれば、簡単なボタン操作でアプリケーション全体を直接開発し実行することができます。これらのプラットフォームは、各種の車載バスやセンサを接続するための多数のインターフェースを備えており、GPUや演算処理能力を個々の要件に合わせて調整できます。RTMapsに含まれている総合的なライブラリには、データビューワ、レコーダ、またはプレーヤなどの追加コンポーネントが用意されており、シミュレーション環境にも接続できます。これにより、プロトタイピングだけでなく、データロギングやデータリプレイも実行することができ、AGVやAMRのアプリケーションを単一のツールでテストすることも可能です。
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