発表日: 2015年07月30日 |
Vidya Duraiswamy、シニアアプリケーションエンジニア、dSPACE Inc.
モデルベースのソフトウェア開発を使用すると、開発の早期の段階においてホストPC上でモデルのシミュレーションを行い、開発期間を短縮することができます。プロジェクトを成功させるには、いくつかの前提条件を満たす必要があります。まず初めに、必要な動作の仕様の明確で完全なセットが存在する必要があります。これは非形式的な要件でも形式的な要件でも構いません。また、ワークフローを確立し、いかなるエラーも可能な限り早期に検出できる体制を整えることも必要です。
BTC Embedded Specifierを使用すると、非形式的な要件を準形式的または形式的要件に変換することができます。要件管理インターフェース(Simulink Verification & Validation Toolbox)を使用して、モデルから要件への参照を指定することができます。次にdSPACE TargetLinkコードジェネレータを使用して、要件トレーサビリティを備えたコードを生成できます。
次のステップで、上記の要件に基づいてモデルを設計します。この場合、MAABガイドラインやTargetLink用のMISRAモデリングガイドライン、TargetLink Modeling Guidelinesなどのガイドラインに従って適切な構成を持つモデルを設計することが重要です。MES Model ExaminerやSchaeffler Engineering StyleCheckerなどのサードパーティ製ツールを使用すると、会社固有のガイドラインが存在する場合を含め、上記のガイドラインが厳密に守られているかを確認することができます。
モデルレベルで機能検証を実行することが重要ですが、これは複数の異なるツールを使用して実施できます。Simulink Verification & Validation Toolboxを使用すると、モデルカバレッジテストを実行し、モデルのあらゆる部分がシミュレーションの対象になっているかを検証することができます。TargetLink stand-alone Blocksetを使用すると、プロタイピング環境でTargetLinkモデルを実行することも可能です。BTC Embedded Validatorなどのサードパーティ製ツールを使用すると、形式的な要件仕様に対してモデルを検証することができます。
コードが生成されたら、Astrée(AbsInt社)、PolySpace(The Mathworks社)などのサードパーティ製ツールを使用して静的コードチェックを実行し、ゼロ除算、配列範囲違反などのランタイムエラーがないことを確認します。 TargetLinkによって生成されるHTMLコードファイル(モデルまたはData Dictionaryへのハイパーリンクが含まれた変数や他のエレメントを含む)を使用すると、コードレビューを実行できます。
TargetLinkで利用できるMILおよびSILシミュレーション比較を使用すると、モデルおよび生成されたコード間でバックトゥバックテストを実行できます。これにより、浮動小数点型のSimulinkモデルが正しく固定小数点型コードに変換されているかを検証できます。BTC Embedded TesterやPikeTec TPTなどのサードパーティ製ツールを使用すると、テストの自動実行や評価を実行できます。TargetLinkに標準搭載された機能またはサードパーティ製ツールを使用すると、コードカバレッジテストを実行できます。
テストを成功させるためには、すべてのユースケースの入力をシミュレートすることが重要です。TargetLinkは、ステートメントカバレッジとデシジョンカバレッジの両方を提供します。BTC Embedded Testerを使用すると、テストベクトルの作成と管理を行えます。また、テストケースを要件にリンクし、要件やモデル、コードのコードカバレッジレポートを生成することもできます。
TargetLink Stand-Alone Model Managerを使用すると、コードレベルでの機能検証のために量産コードを生成し、生成されたコードをS-functionフレームにラップし、それをMicroAutoboxまたはDS1005などのdSPACEプロトタイパーのハードウェア上で実行することができます。グローバル変数のTRCファイルエントリが生成され、ControlDeskなどのツールによって計測を行えます。dSPACE VEOSを使用すれば、PCまたは評価ボード上でバーチャルECUのシミュレーションを実行できます。BTC Embedded Testerを使用すると、上記のシミュレーション中に形式的要件をチェックできます。
このようにTargetLinkと他のサードパーティ製ツールを使用して、要件から始まり、モデル設計、モデル検証、コード検証、テストプロセスへと続くソフトウェア開発プロセス全体を必要に応じてさまざまな段階で実行することができます。
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