それに伴い現在、新たな電子部品やソフトウェアアーキテクチャが考案され、オペレーティングシステムが改良され、クラウドソリューションが導入され、ソフトウェアのアップデート方式が開発されている最中です。複雑に聞こえるでしょうか。実際、複雑なのです。車両には品質と安全に対する厳格な要件があるため、尚更です。5月24日と25日にミュンヘンで開催される dSPACE World Conference 2023 では、dSPACEがいかに一貫してプロジェクトをサポートし、各方面との緊密な協力や革新的な手法への投資を通じて、優れたシミュレーションおよび妥当性確認ソリューションを提供しているかを、すべてのお客様とステークホルダーの皆様にお示します。今号のdSPACE Magazineは、カンファレンスへの私からの招待状です。お客様がdSPACEとの協力の中で、複雑な課題をどのように克服していったかを一足早くお読みください。

中国のスタートアップ企業である INCEPTIO Technologies 社の記事では、同社が実際のセンサデータとシミュレーションで得られたセンサデータを組み合わせて、完全自動運転向けのECUに求められる完成度水準に到達した手法について説明しています。同社の自動運転トラックフリートは、既に600万キロメートル以上の商業運転を行っていますが、これを成功に導いたのはAURELIONでのセンサリアリスティックシミュレーションとSCALEXIOによる高パフォーマンスなデータリプレイであったことが今号には示されています。

電気自動車の大発展の気運は、道路上を走る車の数だけでなく、自動車産業における開発部門にも明らかに表れています。電動化モビリティ向けのシミュレーションおよび妥当性確認ソリューションの需要は、昨年の当社の予想をすべて上回っており、これはこの分野にいかにポテンシャルが眠っているかを示すものです。2023年に向けて、多くのお客様が高電圧システム、バッテリマネージメント（BMS）シミュレータ、および充電ソリューションへの発注を行い、プロジェクトを開始しています。この件に関して全く新しいことなのですが、当社とパートナー企業である KPIT Technologies 社は、開発の早期の段階でもSIL（Software-in-the-Loop）シミュレーションを通じて開発中のBMSの妥当性を確認できるソリューションを考案しているところです。同社がどのようにこれを可能にしたのかや、開発プロセスをどれくらい効率化できるかについても今号に掲載されています。

今号にはその他多くの成功事例も紹介されています。これらは、dSPACEがシミュレーションおよび妥当性確認の分野で常に皆様に寄り添ってきた、そしてこれからも寄り添うパートナーであることの証です。

Martin Goetzeler