2023年以降、ドライバーステータスモニタリング(DSM)は、乗用車を対象とした欧州新車アセスメントプログラム(Euro NCAP)の不可欠な要素になります。DSMシステムを使用すると、ドライバーの集中力低下(ディストラクション)、疲労、および無反応状態を検出できるようになると期待されています。2024年以降、新しいトラックやバスの認証には、ドライバーの眠気や注意力に対する警告機能が必要となります。これは、EUでの型式認定における先進ドライバーディストラクション警告システムに相当するものです。レベル3以上の自動運転では、ドライバーのモニタリングの重要性が高まり、はるかに多くのカメラと60 GHzレーダーセンサが車室内に設置されることになります。
DSMアプリケーションは、ドライバーステータスを検出するため、車線維持、ステアリング動作解析、ウインカーアクティブ化など、車両のさまざまな機能の出力を評価します。ただし、最も価値のあるデータは、車両前方に設置されたドライバー監視用の車室内カメラによって提供されます。このようなカメラでは多くの場合、照明に関する悪条件を克服するため、特定タイプのNIRまたはNIR+NGRカメラが使用されます。しかし、このタスクにはドライバー検出用アプリケーションのロバスト性の向上という重要な問題が存在します。また、ドライバーステータスを高精度で検出できているかをテストする際には、さまざまな条件を考慮する必要があります。たとえば、ドライバーの年齢や性別、眼鏡類、顔の毛や隠蔽(オクルージョン)以外にも、食べる、話す、笑うなどの各種の条件があります。これらの難題を克服するための1つの方法は、ディープラーニングアルゴリズムや特定のトレーニングデータを利用する手法です。
マルチセンサ開発フレームワークであるRTMapsでは、ブロックベースの手法により、カメラやレーダーなどの車室内センサを関連する車載バスとともに、開発者が使用するセットアップに容易に統合することができます。また、COTSライブラリから幅広いタイプのセンサやバスコンポーネントをドラッグしてDMSアプリケーションと接続し、簡単なマウス操作でそれらを実行することもできます。ドキュメント付きのAPIや実装例を使用すれば、ライブラリにない任意のセンサを要求したり統合したりすることも可能です。RTMapsは、成果物としてのさまざまな非同期入力データストリームを時間相関的にDMSアルゴリズムに投入する独自の組込み機能を備えています。これにより、ドライバーステータスの効率的な検出の重要な前提条件であるデータフュージョンが実現します。この開発フレームワークは、AIアルゴリズムの開発に広く使用されているスクリプト言語であるPythonをネイティブにサポートしているため、ディープラーニング機能のすばやい統合により、極めて高いロバスト性が求められるドライバーモニタリング機能の各種要件に対応することができます。RTMapsに含まれる多数の機能を使用すると、妥当性確認タスクをさらに効率化することができます。たとえば、データリプレイを使用してAIで動作するDMS関数に多数の実データや現実的な合成データを供給することで、ロバスト性をテストできます。しかも、これらすべてを1つのツールだけで行えます。
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