車両の動作やパフォーマンスを決定するのは、特にコーナリング、動特性、および快適性を定義するホイールサスペンション、スプリングおよびダンパー、スタビライザなどのビークルダイナミクス要素です。しかし、特に商用車向けの幅広い車両タイプやそれらのモジュール型構成においてはバリアント数がほぼ無限になるため、ビークルダイナミクスの設計や妥当性確認の際の課題となっています。パッシブシステムやアクティブシステム、ダブルウィッシュボーン式やマクファーソンストラット式などの各種サスペンションシステムなど、システムに応じて複雑さはさらに増します。
課題
元々開発やテストというものはテストドライブで行われていたわけですが、デジタル製品の開発においては、特にセーフティクリティカルなケースやコーナーケースでは、想定されるあらゆる構成に対して、ビークルダイナミクスをリアルタイムで正確にシミュレートする、ということが必要になります。このようなシミュレーションでは、ブレーキやステアリングといった他の車両部品との相互作用や、その他の一般的な条件も同様の精度で同時に確認する必要があります。
そのため、シミュレーションプログラムでは、さまざまな複雑度のデジタル車両モデルを使用して、定義された運転操作を仮想的に実行します。これには、バネ上およびバネ下質量、複雑なアクスルと弾性運動、精巧なタイヤモデル、およびその他の影響を有する各種のトラック構成から複数車体構成のロードトレインに至るまで、さまざまなモデルが含まれます。また長距離走行におけるシミュレーション計算は、車両およびパワートレインの設計(エンジン、ギア比、変速点、質量など)に応じて、燃費や環境への影響などの要素を特定することを意図しています。
当社のサスペンションシステム向けソリューション
dSPACEでは、運動学的要素、弾性運動学的要素(弾性コンプライアンス)、および力の要素(スプリング、ダンパー、およびスタビライザ)に対応し、あらゆるアクスルシステムに使用できるモジュール型のモデルを提供しています。システムはそれぞれ、用途に応じてアクティブな要素としてコントローラ(ECU)と組み合わせて実装することも可能です。
特にトラック分野では、単一のシミュレーションモデルでアクスルの全バリアントに対応し、それらをシミュレーションの実行中に変更することができます。これにより、モデルのメンテナンスを最小限に抑えられます。
シミュレーションモデリング
メカトロニクステストベンチ
ラピッドプロトタイピング
量産ソフトウェア開発
SILテスト
SIL(Software-in-the-Loop)テスト向け、PCおよびクラウドベースのシミュレーション用の強力なdSPACEソリューション
SIL(Software-in-the-Loop)テスト用のdSPACEソリューションでは、テストや妥当性確認を仮想環境で行うことにより、ソフトウェア開発プロセスを大幅に迅速化することができます。dSPACEは、モジュール型で拡張性に優れ完成された開発およびテストソリューションを提供しています。これを使用すれば、PC上でテスト対象デバイスを容易にシミュレートし、物理ベースのモデルに接続し、クラウドでスケーラブルなテストを実行できると共に、HIL(Hardware-in-the-Loop)システムでテストスクリプトを容易に再利用することができます。
HILテスト
すべての開発段階をサポート
自動運転の分野において、これまで以上にセーフティクリティカルな機能を備えた複雑なE/Eシステムやソフトウェアを開発する場合の課題は、機能の信頼性をどのようにして保証するかということです。そのためdSPACEでは、機能安全、テストストラテジの開発、および複雑なE/Eプロセスの検証と妥当性確認のためのエンドトゥエンドのソリューションを提供し、プロジェクトの初期段階から認証までをサポートしています。
dSPACEシステムは容易に稼働させることができます。しかし、プロジェクトが複雑な場合、個別のソリューションを必要とする場合、または十分な時間がない場合などは、dSPACEの迅速で信頼性の高い優れたエンジニアリングサービスもご利用いただけます。