MicroAutoBox IIの安全メカニズム

高度に自動化された運転操作などで使用されるセーフティクリティカルなプロトタイピングアプリケーションでは、ECUの制御機能を監視し、正確に実行できるようにするための付加的なメカニズムが必要です。MicroAutoBox IIはプロトタイピングシステムでありながら、量産段階で一般的な複数の監視機能をすべてのバリアントで提供しています。これにより、機能開発フェーズの早期の段階においてもより高度なレベルの監視を実現することができます。これは、マルチステージウォッチドッグ、統合型チャレンジレスポンスメカニズム、さまざまなメモリの整合性チェック、および電源電圧モニタリングによって可能になっています。

システムの不具合が検出されると、システムがシャットダウンまたは再起動され、定義されたシステム状態に戻ります。また、たとえばノンマスカブル割込みによってユーザ定義のソフトウェアルーチンをトリガし、最新のパラメータセットを保存したり、不具合の原因を記録したりすることもできます。

モデルをブロックセットライブラリからSimulinkダイアグラムにドラッグするだけで、メカニズムを容易にプログラミングしたり、RTI Watchdog Blockset経由でSimulink®コントローラモデルに統合したりすることができます。

マルチステージウォッチドッグメカニズムは、FPGAベースのハードウェアウォッチドッグおよびリアルタイムプロセッサ上で実行される設定可能なソフトウェアウォッチドッグで構成されています。このメカニズムを使用すると、リアルタイムプロセッサを継続的に監視したり、リアルタイムアプリケーションが正確に実行されているかを確認したりすることができます。各ウォッチドッグでは、タイムアウト動作を個別に設定することができます。これにより、Simulink内のタスクまたはサブシステムが決められた時間制限内で定期的に実行されているかを確認することができます。

チャレンジレスポンスモニタリングは、リアルタイムプロセッサからは独立しており、MicroAutoBox IIの個別のハードウェアコンポーネントに実装されています。これにより、リアルタイムプロセッサが正常に動作していない場合でも確実に欠陥を検出することができます。ウォッチドッグ機能と比較した場合、チャレンジレスポンスモニタリングでは、サブシステムが一定の時間内に反応しているか確認するだけでなく、リアルタイムプロセッサでの演算が正常に実行されているかも確認することができます。チャレンジレスポンスモニタリングでは、より広範なカバレッジを達成するため、実行順序の制御といったより複雑な監視機能も実装できるようになっています。CコードおよびS-functionを含む個別の検証ルーチンを実装することも可能です。最大14のチャレンジレスポンスモニタリングのインスタンスを最大16のチャレンジ/レスポンス値を使用して同時に設定することができます。さらには、黙示的リバースモニタリングを実装することにより、監視機能が正常に機能しているかを定期的に確認することも可能です。

MicroAutoBox IIでは、さまざまなメモリ整合性チェックを使用して、ハードウェアの欠陥やクリティカルなビットエラーを検出することができます。初期ROMチェックメカニズムを使用すると、リアルタイムアプリケーションの開始時のメモリ障害を検出することができます。欠陥が検出されると、MicroAuto­Box IIはプログラムを実行せず、リアルタイムアプリケーションの開始を中止したうえで、定義されたシステム状態に戻します。ヒープ、スタックおよびROMモニタリングメカニズムを使用すると、リアルタイムアプリケーションの実行時のメモリ障害を検出することができます。このメカニズムにより、ヒープおよびスタックメモリセクションが引き続き有効になり、許可なく上書きされることはありません。また、ROMモニタリングメカニズムを使用してランタイムビットエラーを検出することもできます。欠陥が検出されると、すべてのランタイムモニタリングメカニズムは専用の故障時動作(再開、シャットダウン、割込み)を実行し、システムを定義された状態に戻します。

電源電圧モニタリングメカニズムを使用すると、Micro­AutoBox IIの電源電圧レベルがクリティカルな状態になっているかを検出することができます。これにより、電源電圧レベルがクリティカルな状態になる前にシステムに介入することもできます。しきい値を設定すると、MicroAutoBox IIと共に使用されているさまざまな車両電気システムやその他のシステムに電源電圧モニタリングメカニズムを容易に適用することができます。

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