ECUテストの際に、特定の電気インターフェースに影響を及ぼすことは多くの場合困難または不可能です。それでもほぼ量産段階または量産段階のソフトウェアを使用して、ソフトウェアの機能テストを実行できるようにするため、dSPACEではECUインターフェースソフトウェアを提供しています。これにより、利便性の高い方法で、電気インターフェースや機械的インターフェースなしでリアルタイムアプリケーションから直接ECUの制御機能にアクセスすることが可能になります。たとえば、温度センサ、圧力センサ、加速度センサなど、ECUで直接アクセスすることが困難なECUセンサの値をシミュレートすることができます。dSPACE ECU Interface Softwareを使用すると、テストの実行中にECUソフトウェアの内部ステータスの変化に対応できるため、こうした変化の影響をテストの進行状況に正確かつ即座に反映することができます。また、ECUソフトウェア全体からECUソフトウェアのサブ機能を分離して、ECUハードウェア上でテストすることも可能です(ホワイトボックステスト)。
元の実装の詳細を完全に把握していない場合でも、dSPACE ECUインターフェースソフトウェアには既存のECUを接続することができます。これには2種類の方法があり、SCALEXIOシステムにECUを接続するようにECUソフトウェアを準備するか、またはECUの内部信号をリアルタイムアプリケーションで利用できるようにします。ECU Interface Base Packageを使用すると、外部のdSPACEリアルタイムハードウェアとの接続用にあらかじめ準備されているECUにアクセスできます。オプションのBinary Code Management Moduleを使用すると、テスト機能に使用するコードセクションにサービスコールを挿入することによって、ECU統合用のマイクロコントローラのバイナリコードを以前に遡って用意することができます。ビルド環境などにアクセスする必要はありません。
HIL(Hardware-in-the-Loop)ホワイトボックステストで同期計測を実行し、ECU内部変数を設定するためには、HILシミュレータをテスト対象ユニットにリアルタイムにアクセスできるようにする必要があります。dSPACE HILシミュレータであるSCALEXIOでは、dSPACE DSI-GSI2シリアルハードウェアまたはECUに既に搭載されているXCP-on-Ethernetインターフェースのいずれかを使用することで、これを実現しています。ECUと同期してECUコードの変数にアクセスするには、アクセスポイントとしてバイパスまたはXCPサービスコールが必要です。これらのサービスコールは、ECUソースコードに手作業で挿入することも、バイナリコードに基づいて自動的に挿入することもできます。dSPACEでは、自動的な挿入を行えるようにするため、ECU Interface Managerを提供しています。テストエンジニアは、この強力かつ直感的なツールを使用することにより、ECUに必要な修正をいつでも行うことができます。ConfigurationDeskでは、アクセス用に用意されたECU内部信号を数クリックで利用することができます。この場合、これらの信号はリアルタイムアプリケーションで使用することができます。SCALEXIO HILシステムでは、アプリケーションからECUの内部ファンクションおよび変数に同期アクセスを行うことにより、ホワイトボックステストを実現しています。
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