発表日: 2014年01月06日 |
エンブリー・リドル航空大学のARAPAIMAチーム
エンブリー・リドル航空大学(ERAU)とアーカンソー大学の工学部の学生たちは、小型衛星を設計・構築するための研究開発ミッションを共同で行っています。学生たちは、HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーション用のdSPACE Mid-Sizeシミュレータ、プロセッサボード、Ethernet開発ツール、dSPACE ASM Satelliteソフトウエアを含むdSPACEシステムを使用しています。
この小型衛星プロジェクトは、米国空軍研究所の空軍科学研究局/宇宙船理事会が主催するコンテストの一部です。教育と技術革新に焦点を置くこのコンテストには、米国の大学が合計10校参加しています。
エンブリー・リドル航空大学の航空宇宙工学部のBogdan Udrea助教授は、「実務経験の場を提供することにより、宇宙システム開発に携わる未来の宇宙専門家を育成しています。このプログラムの主な利点の1つは、業界に入る前の早い段階で学生が実践的な知識を学べるということです」と述べています。
学生たちは、プロジェクトを「Application for RSO Autonomous Proximity Analysis and IMAging(RSO自律近接性解析および画像処理アプリケーション)」、略してARAPAIMAと名付けました。
このプロジェクトの目的は、電気通信サブシステムを含む小型衛星を構築、設計、配備することです。配備された衛星は、常在宇宙物体(RSO)の3次元可視赤外線画像処理および監視に使用されます。
Udrea助教授の説明によると、現在、地球低軌道は宇宙廃棄物や何百もの衛星であふれかえっており、今後の宇宙飛行への脅威となっています。Udrea助教授は、この問題をARAPAIMAプロジェクトで解決できるようにするため、RSOの効率的な除去が可能な手頃で低リスクの小型衛星技術を確立したいと考えています。
Udrea助教授によると、学生たちは、dSPACE ASM Satelliteをオンボードソフトウエアの「骨組み」として使用する予定です。
「衛星(プラント)の独自モデルを追加して骨組みを具体化します。独自モデルには、これも我々が開発中のセンサ、アクチュエータ、環境、およびコントローラが含まれています。今後のプロジェクト段階では、コントローラ用のソースコードを自動生成するためにdSPACE TargetLinkも使用する予定です」
Udrea助教授によると、チームメンバー間のさまざまなプログラミングスタイルや、文書作成スタイルの違いの管理に役立つように、dSPACE ASM Satelliteのインターフェース定義を使用してすべてが合理化されています。
また、学生たちはシミュレータの中心としてdSPACEリアルタイムシステムを使用する予定とのことです(図1を参照)。
Udrea助教授は、「姿勢決定および制御、電力、推進力、および通信サブシステムの大部分のコンポーネントのエンジニアリング認定モデル(ラボモデル)を購入する予定です。購入したコンポーネントは、コントローラを実行するオンボードコンピュータに接続します。dSPACEシステムで小型衛星(プラント)のモデルを実行するわけです」と述べています。
図1:ARAPAIMAプロジェクトのリアルタイムテストベッド
チームメンバーは小型衛星を構築すると同時に、高校生以下の学生に対し、プロジェクトの経験を共有し、科学とエンジニアリングの関心を喚起する取り組みも行っています。
メンバーは地元の学校を訪問し、衛星技術について学生と意見を交換しています。また、年下の学生にモデルやペットボトルロケットを打ち上げる機会も提供しています。さらに、小型衛星プロジェクトの現場を直接見学できるSpacecraft Development Labに高校生以下の学生を招待しています。小型衛星は、1) システムの概念設計、2) システム要件の特定、3) 予備設計、4) 重要設計、5) プロトタイプ認定、6) 飛行ハードウエアの実証の6段階で構築されます。
優勝チームは、2015年1月に発表されます。優勝チームには、衛星を構築して打ち上げるための追加資金が与えられます。最後に、エンブリー・リドル航空大学とアーカンソー大学チームの幸運を祈って結びの言葉といたします。
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