移行時に考慮する必要がある潜在的なAUTOSARツールチェーンのエレメント。
AUTOSAR規格を使用すると、ソフトウエアコンポーネントの交換と再利用を安全に行うことができます。dSPACEは、AUTOSAR 3からAUTOSAR 4に移行するための包括的なサポートを提供します。
個別のソフトウェアコンポーネントの移行には、dSPACEの量産コード生成ツールTargetLink®が最適です。TargetLinkでは、個別の機能から量産コードを生成する際に、コードのベースとなるAUTOSARバージョンを定義できます。開ループおよび閉ループ制御を実現するアルゴリズムはAUTOSARバージョンに依存しないため、これらはバージョン固有のデータに結合するだけで済みます。つまり、AUTOSAR 4に調整する必要があるのは、この結合されたデータのみです。TargetLinkではデータをバージョンに依存しないData Dictionary内に保存するため、AUTOSAR 4に準拠したコードはグローバルプロパティを1つ変更するだけで生成できます。
AUTOSARの2つのバージョン間には複雑で大きな違いがあるため、システムアーキテクチャ全体の場合や、さらに大規模なAUTOSARシステムの抽出データの場合には、ボタン1つのクリックでは移行できません。スクリプトによって自動化できるプロセスもありますが、こうしたスクリプトは個別の事例ごとに調整する必要があります。
変換ツールを使用すると、AUTOSARソフトウエアコンポーネントのテンプレートの一部であるAUTOSAR 3のあらゆるエレメントを自動的に変換することができます。これにより、情報を失う心配は不要になります。ただし、変換ツールではAUTOSAR 4で追加された新たなエレメントは作成されません。dSPACEは、AUTOSAR 4でのアーキテクチャをどのようにすべきかを探るため、お客様との連携を取っています。dSPACEエンジニアリングサービスでは、この情報に基づいて、希望のアーキテクチャをSystemDeskの自動化インターフェース経由で生成できるよう、スクリプトのカスタマイズを行っています。
スクリプトの変換はdSPACEまたはお客様のいずれかで行います。dSPACEは、移行に向けたさまざまなエンジニアリングサービスを提供しています。
移行を成功させるには、開発者はAUTOSARのファイルだけでなく、その根底にあるツールチェーン全体も意識する必要があります。AUTOSAR 3からAUTOSAR 4にファイルを移行する際は、AUTOSAR 4の新しいファイルを後で編集できるようにするため、ご使用のAUTOSARツールチェーンの更新が必要な場合もあります(図1)。ここで、dSPACEは成熟したツールチェーンを提供するだけでなく、個別のアドバイスやサポートも行っているため、ユーザは長期的な視点に基づいてdSPACEのプロジェクトを利用できるという利点があります。dSPACEは、お客様と緊密に連携して、移行の必要があるデータ、既存データの種類を確認し、移行の必要があるのは単一ソフトウエアコンポーネントなのか、あるいはソフトウエアアーキテクチャ全体なのかを把握します。こうして、個別のプロジェクトのニーズに合わせて移行のためのソリューションを作成します。
dSPACEでは、新しいバージョンでの変更点をお客様に認識していただくため、AUTOSAR 4に関連したトレーニングも提供しています。
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