この使用例では、各種ベンダー製のFunctional Mockup Unit(FMU)を統合して単一のシミュレーションアプリケーションを形成し、dSPACEのVEOSを使用したPCベースシミュレーションを実現する方法を示します。
デモは既存のHILプロジェクトをベースに、HILテストのフロントローディングおよびFMUのシミュレーションを実証します。dSPACE VEOSは、PCベースのシミュレーションプラットフォームとして使用します。dSPACEツールのControlDeskやMotionDeskを使用して、シミュレーションを制御およびビジュアル表示します。デモシステムは、様々なモデル部分で構成される車両環境モデル、および横滑り防止装置(ESP)用のECUモデルで構成されます。ビークルダイナミクスモデルには、dSPACEのASM(Automotive Simulation Models)を使用します。元のASMエンジンおよびドライブトレインのモデル部分は、リアルタイム対応CコードFMUに置き換えます。エンジンモデルにはDassault SystèmesがDymolaで開発したものが提供され、ドライブトレインモデルにはITIがSimulationXで開発したものが提供されました。これらは物理モデリング(非因果的)手法によって開発されました。FMUはFunctional Mock-up Interface (FMI 2.0 RC1) for Co-Simulationをベースにしています。
FMU、ASMモデルパーツ、およびECUモデルをVEOSで統合してシステムモデル全体を形成します。
スクリーンショットの表示は、ITIにより提供されたドライブトレインFMUのインターフェースをSimulinkモデル内で表現したものです。I/OポートはFMUインターフェースを表し、FMUとSimulinkモデルとの接続に使用されます。同様のインターフェースは他のFMUおよびESP ECUモデルにもあります。
すべてのモデルパーツを、VEOSプラットフォーム用統合ツールのVEOS Playerにインポートします。VEOS PlayerはFMUインターフェースを他のモデルのI/Oポートと接続し、これらをシステムのモデル全体へと統合します。この時点で、このモデル全体はVEOSでのダウンロードおよびシミュレーションができる状態になっています。
ControlDeskは、シミュレーションの開始や制御を行う際に使用します。本物のような試験レイアウトは、自動車の精密なダッシュボードといった印象を与えます。ヨーレート、ブレーキ圧、速度など、すべてのモデル変数およびモデルパラメータがシミュレーション中に表示され、常に更新される最新の状況を確認できます。
このデモシステムでは、ESP ECUの機能をテストします。滑りやすい路上を走行中の自動車でブレーキングするという同じシミュレーションシナリオを、ESPがオンとオフの状態で1回ずつ、合計2回別々のシミュレーションで実行します。
MotionDeskでシミュレーションがビジュアル表示されるため、両方のシミュレーションシナリオ、つまりESP ECUの機能をオンまたはオフにした状態での車両の動作状況がグラフィカルに表示されます。ESP ECUの機能をオフにした1回目のシミュレーション運転では、ブレーキ中に自動車が横滑りを始め、スピンします。ESP ECU機能をオンにした場合は、ブレーキ操作によって自動車が制御され、無事に停止します。テストドライブは記録されるため、両方の運転を同時に再生して画面上で直接動作状況を比較することができます。
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