Electrical Power Systems Simulation Packageとは
Electrical Power Systems Simulation(EPSS)Packageは、Simscape Electrical™(Specialized Power Systems)のシミュレーションソリューションです。これを使用すると、Simscape Electrical™で開発した電気モデルをリアルタイムで計算しシミュレートすることができます。
本製品は、電気システムのテストに最適な開発環境を提供します。パッケージには、Simscape Electrical™のモデルをリアルタイム処理に対応させるための2つの異なるオプションが含まれています。
- スイッチング周波数が最大20 kHzの場合では、リアルタイムアプリケーションを プロセッサ 上で計算することが推奨されます。
- より高いスイッチング周波数のアプリケーションには、 FPGA を使用する必要があります。
アプリケーションのスイッチング周波数が80 kHzを上回る場合は、当社にご連絡ください。お客様のニーズに合わせて最適化したFPGAベースのソリューションを個別に提供いたします。
背景知識
Simscape Electrical™ (旧SimPowerSystems™)は、電気回路、特にパワーエレクトロニクスのシミュレーションに使用されるMathWorks ® 社のSimulink ® ライブラリであり、物理モデリングと呼ばれるトポロジ指向のモデリング手法をベースとしています。
Specialized Power Systems では、専用のコンポーネントやアルゴリズムを使用した電力システムのモデリングが可能です。
これらはもともと計算処理をリアルタイムで行えないため、リアルタイムマシンでの実行にはdSPACE EPSS Packageが必要となります。
適用分野
EPSS Packageを使用すると、Simscape Electrical™(Specialized Power Systems)のモデルを dSPACEのHIL(Hardware-in-the-Loop)環境 に統合し、動的な電気システムをテストすることができます。
当社のFPGAベースのソリューションの代表的な用途は以下の通りです。
- 充電ステーションおよび車載充電器
- DC/DCコンバータ
個々の要件に応じて、FPGAベースの手法またはプロセッサベースの手法のいずれかを使用できます。
- アクティブ整流器および産業用インバータ
- 配電網向けの装置
主な利用効果
EPSS Packageは、高いシミュレーション性能、高速なモデル実装、およびリアルタイム機能など、使いやすさだけでなく高度な柔軟性も兼ね備えた独自の製品です。
複雑なスイッチングや高速なスイッチング向けのパワーエレクトロニクス回路を開発しているお客様ですか。EPSS Packageは、大規模回路や高速パワーコンバータの操作に有用な機能を備えています。また、追加機能も活用すれば、既存のモデルを最適化してリアルタイムに動作させることが可能です。これらの機能はdSPACEが作成したSimulinkファンクションブロックによって実現しているため、標準のファンクションブロックと同様に簡単に使用することができます。それらを統合してセットアップすれば、専門知識がなくても容易にモデルを最大限に活用することが可能です。
- モデル分割 機能は、大規模なモデルを小さなサブモデルに分割するのに役立ちます。これにより、計算負荷全体とシミュレーションステップサイズを低減しながら、大規模モデルをリアルタイムにシミュレートすることができます。
- 多様な 解析ツール を用いれば、安定性やFPGA機能の面などを含め、モデルの分析が可能です。これらのツールを用いてモデルを最適化すると、シミュレーションを最大限に活用できます。
- 統合されたスコープ機能 を使用すると、ハードウェアのオシロスコープを使用しているかのように、FPGAクロックレート内で高周波信号を容易に取得し、直ちにFPGA上でモデルの挙動を確認することが可能です。そのため、プロセッサでの信号取得と比べて計測の速度や精度がはるかに向上します。当社の試験および計測用ソフトウェアであるControlDeskでFPGA Scopeの計器を使用すれば、最大8つのFPGA信号を実行中に計測および表示することができます。
- このパッケージはdSPACEツールチェーンに シームレスに統合 されているため、XSGベースのモデルや高電圧負荷モジュールなど、他のdSPACEツールおよび製品と連携させることが可能です。このように、既存のHILシステムを容易に拡張して新しい要件に対応させることができます。
FPGAベースの手法
低レイテンシのシミュレーションを224 nsのシミュレーションステップサイズで実現
FPGAベースの手法には、所定のSimscape Electrical™(Specialized Power Systems)モデルに準じて設定された既製のFPGAアプリケーションが含まれています。これにより、低レイテンシなHILシミュレーションが実現されます。
当社は、容易に統合できるようあらかじめ設定されたFPGAアプリケーションを提供しています。お客様にとって、これには多くの利点があります。
- FPGAの論理合成が不要
- FPGA固有の知識が不要
- FPGAを数分以内で自動的に設定
機能概要
機能 |
説明 |
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全般 |
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解析 |
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モデル分割 |
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モードキャッシング |
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ユーザインターフェース |
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スコープ機能の統合 |
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FPGA間通信 |
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必要な製品
オプション製品
プロセッサベースの手法
中レイテンシのシミュレーションを15 μsのシミュレーションステップサイズで実現
プロセッサベースの手法を使用する場合、Simscape Electrical™(Specialized Power Systems)モデルを修正する際に拡張ライブラリを利用できるようになります。これにより、dSPACEリアルタイムプロセッサ上でリアルタイムに実行可能なコードを、Simulink Coder™を使用して生成することができます。
プロセッサベースのシミュレーションには、パワーエレクトロニクスで使用されるさまざまなブリッジ回路向けの平均値モデルが用意されており、パワー半導体スイッチングデバイスの正確なシミュレーションを保証します。
機能概要
機能 |
説明 |
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全般 |
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解析 |
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タスク処理 |
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モデル分割 |
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モードキャッシング |
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必要な製品
オプション製品
マルチプロセッサおよびマルチFPGA機能
大規模かつ複雑なトポロジのシミュレーションを容易にするため、EPSS Packageには極めて高度なマルチプロセッサおよびマルチFPGA機能が搭載されています。
半自動モデル分離ツールでは、専門知識がなくても最も安定性およびパフォーマンスの高い分離位置を検出することができます。そのため、個別のコア、プロセッサ、または複数のFPGAボードを使用することにより、容易にマルチプロセッサおよびマルチFPGAシステムをセットアップすることができます。
この機能を使用すると、演算処理を並列して行えるだけでなく、個々のシミュレーションプラットフォーム間でデータをすばやく交換できるため、シミュレーションを大幅に高速化することができます。また、グラフィカルなプログラミングにより、I/OボードやFPGA間の接続を割り当てることができます。