電動車、船舶、航空宇宙アプリケーションなどの電気システムの効率性向上には、最大限のパフォーマンスで動作可能なバッテリシステムが必要です。バッテリシステムやバッテリマネージメントシステムの開発を促進するうえで、物理的に正確なシミュレーションは決定的な要因となります。
さまざまなテストを経て実現したASMマルチセルバッテリモデルは、コントローラ開発の初期段階や制御ユニットの検証に活用することができます。これを使用すれば、どのような用途でも、コンポーネントのテストを完了したり、バッテリシステムのパフォーマンスをシミュレートしたりできます。また、このモデルはSILやHILのプラットフォームで動作するため、テストやテストセットアップの準備をプロジェクトの早期の段階にフロントローディングできます。
ASMのバッテリモデルは、デフォルトで2つのRCエレメントを備える同等のシステムをベースとしており、バッテリの電圧挙動をシミュレートします。また、必要に応じて追加のRCエレメントを使用して拡張できるようなっています。バッテリパックでは、バッテリの電圧挙動をシミュレートしながら、セル単位で電流バランスを考慮したり各セルの温度を操作したりすることが可能です。
ASMのバッテリモデルは、バッテリパックのトポロジをアプリケーションごとに変更できる柔軟なアプローチを採用しています。ASMのバッテリシステムは、任意の数の直列接続のバッテリスタックを備えた複数のバッテリパックを並列に接続した構成とすることが可能です。それぞれのスタックはバッテリセルの並列接続を表します。モジュールのクラスタリングを考慮するかについては、いわゆるセル監視回路のアーキテクチャに依存します。
このモデルはBMS SoftECUを備えることにより、総合的なデモをすぐに使えるようにしています。このSoftECUは、プリチャージ回路スイッチを制御し、充電中には充電状態を推定しながらパッシブセルバランシングを実行し、動作中にはバッテリを監視することが可能です。デモモデルの中には、当社のオープンなECUインターフェースも既に含まれています。
また、最新のバッテリシステムにも対処できるよう、リアルタイム処理に対応したデモが実装されており、とりわけdSPACE BMS HILシステムとの互換性も保証されています。さらに、当社の重要な目標の1つであるASM製品ファミリ内での連携にも対応しているため、モーター、燃料電池、車両、およびトラックのシミュレーションといった他のASMコンポーネントを用いて容易にデモを拡張することができます。
車載電源ネットワークのシミュレーションなど、要件が厳しくない用途のサポートは専用のバッテリモデルが行います。
ASM Batteryの使用事例の概要
バッテリマネージメント機能の開発およびテスト
電気自動車の回生ブレーキシステムのトルク管理
車両充電コントローラを使用したDC充電プロセスの開発およびテスト。
dSPACE HILシステムにより、バッテリマネージメントシステムのテストをサポート。
Volkswagen TouaregのElectric Drive、パワーエレクトロニクス、動力用バッテリでは、電子システムの連係動作の重要性が高まります。
最新の技術開発動向をつかんで、イノベーションを加速。
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