SCALEXIOカスタマイズシステムとは
dSPACE SCALEXIOカスタマイズシステムは、極めて汎用性の高いHIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレータであり、ユーザ固有の要件を満たすために幅広い調整オプションと設定オプションが用意されています。小規模なシステムから大規模なシステムまでスケーラブルに対応し、コンポーネントのテストから完全なバーチャルビークルのシミュレーションに至るまで、柔軟に使用することができます。
代表的な適用分野
- 自動運転
- 電動化モビリティ
- エンジン、パワートレイン、シャシ、ボディ
- トラック用アプリケーション(24 V/36 V)
- レーシング用途(F1、ラリー)
- 機械式テストベンチ
- ECUに対する総合的なクローズドループテスト、リリース/受け入れテスト
- ネットワーク化されたECU
主な利用効果
- 高度にスケーラブルなモジュラー方式のラックコンセプトを採用し、お客様のあらゆる要件に十分に対応できる高い柔軟性とオープン性を確保
- I/Oハードウェアは拡張I/O機能を提供し、その大部分がソフトウェアにより設定可能なため、変化するプロジェクト要件にも極めて容易に適合させることが可能
- 十分な動作確認のうえドキュメント化され、品質が保証されたシステムをお客様の施設で直接稼働させることが可能
- 必要な際にはいつでも調整や拡張が可能
SCALEXIOカスタマイズシステムの使用
SCALEXIOカスタマイズシステムのご注文時には、お客様固有のプロジェクト要件に合わせた調整が行われます。これには、お客様にとって必要なI/Oやバス、ネットワークインターフェースの提供だけでなく、安全扉やコネクタなどの特別なご要望への対応や個々の寸法の調整も含まれます。
dSPACEは、すぐに使用可能なターンキーシステムを提供しつつ、必要に応じてお客様のテストプロセスに対応する調整を行います。
バリアントおよび主要諸元
総合的なカスタマイズオプション
- モジュール型コンセプトにより最大限の柔軟性を提供
- 要件変更時にも最小限のハードウェア変更で対応可能
- 追加の計測作業や仕様変更への柔軟な対応を行う場合に、端子台ですべての信号にアクセスできます。
- わかりやすく明確なシステムアーキテクチャ
- 複数のラックを使用可能(マルチラックシステム)
柔軟性の高いモジュール型ハードウェア
- 高演算処理能力の要件に対応するシングルプロセッサまたはマルチプロセッサシステム
- プロジェクトのニーズに応じて任意のSCALEXIOボードにより自由に拡張可能
- 欠陥生成および負荷シミュレーション用のハードウェアなどで拡張可能(ユーザ固有の構成)
- 柔軟性の高いFPGAボードなどで拡張可能
シグナルコンディショニング
- SCALEXIO MultiCompact I/OおよびSCALEXIO HighFlexハードウェアにシグナルコンディショニングを搭載
- デジタル入出力、アナログ入出力、リレーシミュレーション、電流シンク/ソース、LVTシミュレーション、抵抗シミュレーション、リニアラムダプローブシミュレーションなど、ほとんどすべての信号の種類をサポート
- 要求に応じたその他のモジュール
リニアラムダプローブのシミュレーション
LSU(Lambda-Sonde Universal、汎用ラムダプローブ)は、リニアラムダプローブの動作をシミュレートするシグナルコンディショニングモジュールです。このプローブを使用して、自動車の排気システムで空燃比を計測します。エンジンECUは、触媒コンバータが最適なパフォーマンスレートで動作できるように噴射時間を変化させて対応します。
LSUモジュールは、ポンプ電流およびネルンストセル内部抵抗に基づいて、4つの独立したチャンネルでネルンストセル電圧を生成することができます。このモジュールは、リニアプローブまたはジャンププローブとして機能します。最大/最小ネルンストセル電圧などのパラメータを調整できます。
負荷機能
- ユーザ固有の構成によるモジュール型負荷コンセプト
- シングルエンド負荷およびダブルエンド負荷をサポート
- 抵抗負荷または他の種類の等価な負荷
- 電気的に等価な負荷または低電力の抵抗負荷を接続
- 実負荷の接続、オプションのラック統合
- ユーザの負荷パネルを統合
- 高速電子負荷(例:モーターのシミュレーション)
- 高電圧エミュレーションシステムおよびテストベンチへの接続
プログラマブル電源
プログラマブル電源ユニットは、テストするコンポーネントに電源を供給し、車両始動時のバッテリ電圧など、実際の電圧をシミュレートすることができます。この電源ユニットは、リアルタイムモデル内からリモート制御されます。
次に示すように、各種用途に対応したさまざまな電源が提供されています。
- 0~20 V
- 0~60 V
接続オプション
カスタマイズされたSCALEXIOシステムを必要な数だけ相互接続することができます。これにより、計算能力と利用可能なI/Oインターフェースを増大させることが可能です。プロジェクト要件が変更された場合でも、容易にテストシステムを調整することができます。SCALEXIOシステム同士の接続は、IOCNETを介して行います。
すべてのシステム設定用およびシミュレーションまたはテストオートメーション制御用のソフトウェアは、ホストPC上で動作します。PCはSCALEXIOシステムとEthernet経由で接続されます。
欠陥シミュレーション
SCALEXIOラックシステムには、欠陥シミュレーションが統合されたI/OボードであるHighFlexボード(DS2601、DS2621、DS2642、およびDS2671)やMultiCompact I/Oユニット(DS2680およびDS2690)が搭載されているため、欠陥シミュレーションを行うことができます。
欠陥シミュレーション
カスタマイズされたシステムに対応するその他の欠陥生成ユニット
カスタマイズされたシステムの場合は、SCALEXIO Fault Simulationに加え、他のタイプの欠陥シミュレーションが利用可能です。これにより、プロジェクト固有の要件に合わせてシステムを調整することができます。ControlDesk Failure Simulation ModuleまたはオプションでAutomationDeskを使用すると、カスタマイズされたシステムの欠陥シミュレーションをリモート制御することができます。
欠陥シミュレーションバリアント1
SCALEXIOの欠陥シミュレーションのバリアント1では、すべてのECU入出力ピンでの欠陥シミュレーションがサポートされます。この欠陥シミュレーションは、dSPACEのすべてのデジタル/アナログI/Oボードで使用することができます。欠陥シミュレーション用のリレーボード(DS291)は、センサ信号(ECU入力)に対する欠陥シミュレーション用に単体で使用したり、アクチュエータ信号(ECU出力)に対してロードボード(DS281)と連結して使用することができます。欠陥を生成するリレーは、RS232シリアル通信によって制御されます。
欠陥シミュレーションバリアント2
欠陥シミュレーションのバリアント2では、ECUの入出力に対する欠陥シミュレーションのために、セントラルリレースイッチマトリクス(DS293)が使用されます。異なる5つのシステム電位(例:バッテリ電圧、IGN電圧、GND)を、ロードモジュール(DS282)を介して、3つのレールで切り替えることができます。接続可能なその他のデバイスには、各種計測デバイス(Meas0-4)、電子ソース(Source)、および過渡インピーダンス用のRsimモジュールなどがあります。欠陥シミュレーションは、CANインターフェースを介して制御されます。
大電流欠陥シミュレーション
SCALEXIOの大電流欠陥シミュレーションユニットは、ECUの入出力に対する欠陥シミュレーションをサポートしています。1枚のFIUコントローラカード(DS5355)で、2つの大電流FIUリレートレイ(DS5390)上の最大19信号チャンネルをサポートします。FIUコントローラカードはモジュール方式であるため、拡張してチャンネル数を増やすことができます。これらのリレートレイでは、最大40 Aの電流と最大250 Vの電圧による欠陥に対応できます。FIUは、ControlDeskからシリアルRS232経由で制御されます。
診断および適合ハードウェアとのカスタマイズインターフェース
欠陥メモリからECUの内部変数を読み出すなどの作業を実行するために、独自の診断および適合ハードウェアをすでに持っている会社は数多くあります。独自の診断および適合ハードウェアを使用したい場合は、SCALEXIO専用のインターフェースが必要であり、エンジニアリングを必要とする場合もあります。GPIBやRS232などの特定のプロトコルを使用して、必要となるさまざまな種類の計測デバイス、デジタルスコープ、および診断デバイスを接続することができます。
実際のシステムコンポーネント
場合によっては、実際のシステムコンポーネント(インジェクションバルブ、油圧コンポーネント、センサなど)をSCALEXIOに組み込む必要があります。これはたとえば、同じECU用のコンポーネントが別々のサプライヤから供給されており、シミュレーション環境内でそのECUと組み合わせてチェックしなければならない場合などに必要になります。さらに、適度な時間と費用ですべての車両コンポーネントを十分な精度でシミュレーションできるわけではありません。一部のECUでは、動作させるために出力側に実負荷が必要になります。
その他のハードウェアコンポーネント
- サードパーティ製ハードウェアをオプションで組込み。例:負荷パネル、信号ルーティングユニット、GPIB計器
- 電源スイッチモジュール
CANゲートウェイ
大規模なCANネットワークでは、バス通信のテストが重要な役割を果たします。予期されるCANメッセージが到着しなかったり、CANメッセージに予期しない信号が含まれている場合、エンジニアは、ECUや分散された機能の動作をテストする必要があります。欠陥をシミュレートするには、CANネットワークにCANゲートウェイモジュールを挿入します(図参照)。dSPACEシミュレータでは、各ECUを個別に、2つのCANコントローラのいずれかに接続できます。ソフトウェアによる信号操作を行うので、任意のECUから任意のCANメッセージを変更して、CANネットワーク内の他のECUにあらかじめ設定された影響を及ぼすことができます。CANソフトウェア(dSPACE Bus Manager)は、メッセージや個々の信号レベルに至るまで幅広い範囲の典型的なエラー状況を再現できます。
概要
| 特長 | SCALEXIO FIU | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント1 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント2 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム 大電流タイプ |
|---|---|---|---|---|
| 全般 | SCALEXIO MultiCompact I/OユニットおよびHighFlexボードに統合 |
|
|
|
| FIUを統合したI/Oボード |
|
DS291 | DS282 | DS5355/DS5390 |
| シミュレータ1台当たりのカード数 | I/Oボードを使用 | 設定可能 | 設定可能 | 設定可能 |
| カード1枚当たりのチャンネル数 | I/Oボードによって異なる | 10 | 10 | 最大10枚 |
| スイッチの種類 |
|
リレー | リレー | リレー |
| 中心モジュール |
|
- | 1 x DS293 | - |
| 最大連続電流 | 最大80 A(I/Oボードによって異なる) | 8 A | 8 A | 40 A |
| 生成可能な欠陥の種類 | SCALEXIO FIU | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント1 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント2 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム 大電流タイプ |
|---|---|---|---|---|
| 断線 | 含まれる | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
| グラウンドへの短絡 | 最大10チャンネル | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
| バッテリ電圧への短絡 | 最大10チャンネル | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
| 共通のフェイルレールを経由する別のECUピンへの短絡 | 最大10チャンネル | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
| 直列につながれた追加のハードウェア(Rsim、MeasまたはSource)での断線 | 使用不可 | 使用不可 | 含まれる | 使用不可 |
| 追加のハードウェア(Rsim、MeasまたはSource)を経由する別のECUピンへの短絡 | 使用不可 | 使用不可 | 含まれる | 使用不可 |
| 直接または追加のハードウェア(Rsim、MeasまたはSource)を経由する5つの基準点(ポテンシャル0~4)への短絡 | 使用不可 | 使用不可 | 含まれる | 使用不可 |