The SCALEXIO FIU concept with an example selection of HighFlex I/O boards.
欠陥シミュレーションでは、断線や短絡など、電気レベルの欠陥を挿入することができます。dSPACEでは、欠陥シミュレーション用に、SCALEXIO HighFlex I/OボードおよびMultiCompact I/Oユニットの統合ソリューションを提供しています。さらに、カスタマイズされたラックシステムには、大電流やより多くのフェイルレールを提供する特別な欠陥シミュレーションソリューションを装備することができます。
SCALEXIO欠陥生成ユニット(FIU)は、複数のコンポーネントで構成されています。
欠陥タイプ | 単一のシグナル上の欠陥 | 複数のシグナル上の欠陥 |
---|---|---|
断線(オープン) | チャンネル×1 | すべてのチャンネル 1) |
グラウンドまたはU BAT への短絡 | チャンネル×1 | 最大10チャンネル 1)2) |
チャンネル間の短絡 | チャンネル×2 | 最大10チャンネル 1)2) |
パルス切り替えでの欠陥 | Yes | No |
1)
「FRUリレーによるアクティベーション」オプションが必要です。電流拡張のないI/Oチャンネルでのみ使用できます。
2)
フェイルレールの電流容量により異なります。
SCALEXIO HighFlexおよびMultiCompactボードには、欠陥シミュレーション(FS)機能が組み込まれています。欠陥シミュレーションを有効化するには、追加のFSライセンスが必要になります。FSライセンスは、ホストPC上で確認されます。各ライセンスは、1つのSCALEXIOシステムに対して使用することができます。欠陥シミュレーションで使用するI/Oチャンネル数に応じて、ライセンスの規模を拡張することができます。欠陥シミュレーションはConfigurationDeskで設定されるので、ご使用のリアルタイムアプリケーションでFRUを使用するチャンネルにマッピングされているI/Oファンクション数に適したSCALEXIO Failure Simulationライセンスが必要です。FSライセンスが必要になるのは、欠陥シミュレーションを実行する場合だけです。ConfigurationDeskでI/Oチャンネルを設定する場合には必要ありません。
ECUの診断機能は、指定された時間内に各欠陥を検出する必要があります。ECUの診断機能をテストするため、SCALEXIOはFIUの状態トレース機能を提供します。これにより、FIUの状態を計測およびプロットすることが可能となり、FIUの状態の変化から欠陥の検出などの他のイベントまでの時間をモニタすることができます。
SCALEXIOは、シミュレーション時における複数の欠陥(断線、グラウンドまたはUBATへの短絡、チャンネル間の短絡などの欠陥クラス)の同時生成をサポートしています。この機能は、電流拡張していないチャンネルに対してConfigurationDeskで有効にすることができます。
カスタマイズされたシステムの場合は、SCALEXIO Fault Simulationに加え、他のタイプの欠陥シミュレーションが利用可能です。これにより、プロジェクト固有の要件に合わせてシステムを調整することができます。ControlDesk Failure Simulation ModuleまたはオプションでAutomationDeskを使用すると、カスタマイズされたシステムの欠陥シミュレーションをリモート制御することができます。
SCALEXIOの欠陥シミュレーションのバリアント1では、すべてのECU入出力ピンでの欠陥シミュレーションがサポートされます。この欠陥シミュレーションは、dSPACEのすべてのデジタル/アナログI/Oボードで使用することができます。欠陥シミュレーション用のリレーボード(DS291)は、センサ信号(ECU入力)に対する欠陥シミュレーション用に単体で使用したり、アクチュエータ信号(ECU出力)に対してロードボード(DS281)と連結して使用することができます。欠陥を生成するリレーは、RS232シリアル通信によって制御されます。
欠陥シミュレーションのバリアント2では、ECUの入出力に対する欠陥シミュレーションのために、セントラルリレースイッチマトリクス(DS293)が使用されます。異なる5つのシステム電位(例:バッテリ電圧、IGN電圧、GND)を、ロードモジュール(DS282)を介して、3つのレールで切り替えることができます。接続可能なその他のデバイスには、各種計測デバイス(Meas0-4)、電子ソース(Source)、および過渡インピーダンス用のRsimモジュールなどがあります。欠陥シミュレーションは、CANインターフェースを介して制御されます。
SCALEXIOの大電流欠陥シミュレーションユニットは、ECUの入出力に対する欠陥シミュレーションをサポートしています。1枚のFIUコントローラカード(DS5355)で、2つの大電流FIUリレートレイ(DS5390)上の最大19信号チャンネルをサポートします。FIUコントローラカードはモジュール方式であるため、拡張してチャンネル数を増やすことができます。これらのリレートレイでは、最大50 Aの電流と最大300 Vの電圧による欠陥に対応できます。FIUは、ControlDeskからシリアルRS232またはCAN経由で制御されます。
欠陥メモリからECUの内部変数を読み出すなどの作業を実行するために、独自の診断および適合ハードウェアをすでに持っている会社は数多くあります。独自の診断および適合ハードウェアを使用したい場合は、SCALEXIO専用のインターフェースが必要であり、エンジニアリングを必要とする場合もあります。GPIBやRS232などの特定のプロトコルを使用して、必要となるさまざまな種類の計測デバイス、デジタルスコープ、および診断デバイスを接続することができます。
場合によっては、実際のシステムの部品(インジェクションバルブ、油圧部品、センサなど)をSCALEXIOに組み込む必要があります。これはたとえば、同じECUの部品が別々のサプライヤから供給されており、シミュレーション環境内でECUと組み合わせてチェックしなければならない場合などに必要になります。さらに、適度な時間と費用ですべての車両部品を十分な精度でシミュレーションできるわけではありません。一部のECUでは、動作させるために出力側に実負荷が必要になります。
CAN gateway for simulating errors in large ECU networks.
大規模なCANネットワークでは、バス通信のテストが重要な役割を果たします。予期されるCANメッセージが到着しなかったり、CANメッセージに予期しない信号が含まれている場合、エンジニアは、ECUや分散された機能の動作をテストする必要があります。欠陥をシミュレートするには、CANネットワークにCANゲートウェイモジュールを挿入します(図参照)。dSPACEシミュレータでは、各ECUを個別に、2つのCANコントローラのいずれかに接続できます。ソフトウェアによる信号操作を行うので、任意のECUから任意のCANメッセージを変更して、CANネットワーク内の他のECUにあらかじめ設定された影響を及ぼすことができます。CANソフトウェア(dSPACE Bus Manager)は、メッセージや個々の信号レベルに至るまで幅広い範囲の典型的なエラー状況を再現できます。
特長 | SCALEXIO FIU | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント1 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント2 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム 大電流タイプ |
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全般 | SCALEXIO MultiCompact I/OユニットおよびHighFlexボードに統合 |
|
|
|
FIUを統合したI/Oボード |
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DS291 | DS282 | DS5355/DS5390 |
シミュレータ1台当たりのカード数 | I/Oボードを使用 | 設定可能 | 設定可能 | 設定可能 |
カード1枚当たりのチャンネル数 | I/Oボードによって異なる | 10 | 10 | 最大9枚 |
スイッチの種類 |
|
リレー | リレー | リレー |
中心モジュール |
|
- | DS293×1 | - |
最大連続電流 | 最大80 A(I/Oボードによって異なる) | 8 A | 8 A | 50 A |
生成可能な欠陥の種類 | SCALEXIO FIU | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント1 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム バリアント2 | SCALEXIOカスタマイズラックシステム 大電流タイプ |
---|---|---|---|---|
断線 | 含まれる | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
グラウンドへの短絡 | 最大10チャンネル | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
バッテリ電圧への短絡 | 最大10チャンネル | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
共通のフェイルレールを経由する別のECUピンへの短絡 | 最大10チャンネル | 含まれる | 含まれる | 含まれる |
直列につながれた追加のハードウェア(Rsim、MeasまたはSource)での断線 | 使用不可 | 使用不可 | 含まれる | 使用不可 |
追加のハードウェア(Rsim、MeasまたはSource)を経由する別のECUピンへの短絡 | 使用不可 | 使用不可 | 含まれる | 使用不可 |
直接または追加のハードウェア(Rsim、MeasまたはSource)を経由する5つの基準点(ポテンシャル0~4)への短絡 | 使用不可 | 使用不可 | 含まれる | 使用不可 |
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