マイルドハイブリッドシステムは、内燃エンジンの非効率になりがちな動作点をサポートすることにより、フルハイブリッドドライブで必要となる車体のコンセプト変更を最小限に抑えながら燃費向上を実現させるためのシステムです。
各自動車部品メーカーでは、48 Vシステムをベースに、内燃エンジンに連結できるモーターとして、統合型モータースタータジェネレータ(MSG)の開発に取り組んでいます。この革新的な駆動コンポーネントは、4つの追加機能(エネルギー回生ブレーキ、始動時のトルクサポート、快適なスタートストップ制御、およびエネルギー効率の高い惰行)を既存のシステムで容易に実現します。
マイルドハイブリッドカーのコントローラの複雑な機能を検証するには、革新的なテストシステムが必要です。
また、仮想環境でフルパワーテストも行うには、モーターの極めて動的な影響を再現できるラボセットアップが必要となります。さらに、最も現実に即したエミュレーションを実現するには、PWMの影響を正確にシミュレートしなければならず、すべての関連コンポーネントやインターフェースに対して極めて短いサイクルタイムで処理することが必要です。また、コールドスタートや極端な温度環境の影響などもテストするには、周囲のコンディショニングの調整も必要です。
マイルドハイブリッドドライブのテストには、一般的にDS5381低電圧電子負荷ユニットを用いたdSPACEテストシステムを利用します。
ここに記載されている構成例は、相電流1,200 Aの48 Vスタータ/ジェネレータユニットのパワーHIL(Hardware-in-the-Loop)テスト用に設計されたマイルドハイブリッドテストシステムです。このテストシステムでは、12台の低電圧電子負荷ユニットを並列接続してシステムに必要な出力を得ています。ECUは別の恒温槽に設置し、ユーザ固有のマッピングキャビネットとハーネスを使用してHILテストシステムに接続します。テストセットアップには、ユーザによるプログラミングが可能なdSPACEのFPGAボードが統合されているため、モーターエミュレーションを最も現実に即した形で実現することができます。dSPACE XSG Electric Component Libraryに含まれる永久磁石同期モーター(PMSM)のモデルは、FPGAボードにより処理されます。また、FPGAボードは必要な負荷モジュールとの低レイテンシのインターフェースを提供します。このようなモデルベースのアプローチにより、実行時にはハードウェアを一切変更することなく簡単なマウス操作だけでモーターパラメータやモータータイプも変更できます。テストシステムには通信プロトコルや位置センサシミュレーションインターフェースも搭載されているため、すべての制御ループを閉ループとすることも可能です。恒温槽では、お客様の要件に応じてテスト対象デバイス(DUT)を調整できます。
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