高電圧テスト

電動化モビリティコンポーネントの高電圧エミュレーション

dSPACEの高電圧電子負荷を使用すると、モーター、バッテリ、またはパワーグリッドをHIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーション中にエミュレートすることが可能になります。これにより、統合されたパワーエレクトロニクスを用いて、最大1,250 V 1) の電圧を使用する制御ユニットのテストを行えるようになります。この電子負荷は、考えられるすべてのACまたはDCのシンクおよび電源をエミュレートすることができます。

dSPACEの高電圧負荷セットアップは、リアルタイムモデル、プロセッサベースおよびFPGAベースのリアルタイムプラットフォーム、さらには高度に動的な負荷モジュールをシームレスに統合しています。

コンパクトでモジュール型のDS5386 High-Voltage Electronic Load Moduleを使用すると、信号ベースのHILシステムでパワーレベルのテストを行うことができます。これらは、各相の電流、相数、およびエミュレートする電源またはシンクのタイプに応じて柔軟に使用することができます。システムは拡張性に優れているため、複数の高電圧キャビネットを組み合わせることでテストシステム電源の増設が可能です。このユニットでは、モーターなどの負荷とバッテリなどの電源をエミュレートする際に同一のハードウェアを使用するため、システムのコスト効率と保守性が向上します。さらに、システムのエネルギーフローを複雑なグリッドのフィードバックなしで循環させることができるため、主電源の負荷や高調波ひずみを最小化しながら効率性を高めます、また、エミュレータハードウェアには、電圧リップル生成装置、恒温槽、テスト対象デバイス(DUT)の冷却条件を制御する高精度のコンディショニングユニットなどのコンポーネントも追加できます。

こうしたすべての特長を活用することで、(ダイナモメータに比べて)低コストかつ短い開発期間でテストカバレッジを向上させることができます。しかも、この高電圧負荷セットアップでは、これまで機械式テストベンチが必要だった標準化テスト(LV123およびISO/DIS 21498など)を実行することができます。これらのテストは、完全に自動化して24時間365日いつでも実行することができ、完全に再現することも可能です。

独自の機能

  • 最高出力時にも最大限に柔軟に対応できるモジュール型のアプローチ
  • 動作点を管理することにより、小さな電流でも高精度のエミュレーション結果を実現
  • 卓越した極めて現実的な電流エミュレーション
  • 信号レベルとパワーレベルでのテストに同一のモデリング環境を使用可能
  • パワーレベルでのHILシミュレーションに特化して設計された電流ベースのエミュレーション
  • ハードウェアコンポーネントの切り替えや交換を行わずに、可変的なモーターインダクタンスのシミュレーションが可能
  • 複数のDS5386 High-Voltage Electronic Load Moduleを容易に並列接続することが可能
  • 必要な数の高電圧電子負荷モジュールを並列に接続してFPGAベースで制御できるため、スケーラブルな電圧エミュレーションダイナミクス(最大10 V/μs)が実現
  • 同じハードウェアをすべてのエミュレーションタスクに使用可能
  • 主電源へのエネルギー回生を必要としない循環型エネルギーフローによる効率的な動作(必要な電源はエミュレーション電力の15%未満)
  • 各エミュレーションラックの出力密度が高いため、全体のシステム設置面積が小型化
  • (可動部品やバッテリなどのエネルギー貯蔵装置が不要な)完全な仮想環境とパワーエレクトロニクス向けの安全メカニズムにより、安全なテストを実行可能

高電圧電子負荷モジュールを搭載したdSPACE HILシステムでは、数メガワットの電源と最大1,250 VのECU電圧によりモーター、バッテリ、およびグリッドコンポーネントを極めて動的にエミュレートすることができます。これらのパワーHIL(PHIL)システムを使用して仮想テストを行うと、コストと時間のかかるプロトタイプのモーターを作成する必要がありません。また、ハイブリッドドライブやElectric Driveのあらゆるコンポーネントを実際のエネルギーフローに基づいて再現できます。当社では、これらの高電圧PHIL機能を備え、あらゆる種類の電気自動車用ドライブに対応した、すぐに使用可能な独自のシミュレーション用ソリューションをシングルソースで提供しています。

当社の高電圧システムは、主に電力レベルでの動的なテストを以下に対して行う場合に使用します。

  • 太陽光および風力インバータ
  • 充電ステーションおよび車載充電器
  • トラクションインバータ
  • 電動航空機の推進システム
  • 航空機の電気機械式作動システム
  • 産業用ドライブ

用途に合わせて多様なテストシナリオからご選択いただけます。

  • 機能テスト
  • 負荷テスト
  • コントローラのロバスト性のテスト
  • クリティカルな動作条件のテスト
  • LV123およびISO/DIS 21498準拠の適合性テスト
  • 柔軟なモーターパラメータ(インダクタンス、抵抗、磁束など)により、実行中のパラメータを変更することなどが可能
  • 電気的欠陥シミュレーションやフィードバック信号操作など、シミュレーション機能が向上

1)  全帯域幅を使用した場合は最大で1,000 Vです。

当社の製品

DS5386 High-Voltage Electronic Load Module

パワーHILシミュレーション用高電圧電子負荷モジュール – パワーエレクトロニクスを含むモーターコントローラのテストに最適(電圧範囲:最大1,250 V)

使用事例

トラクションモーターインバータのテスト

必要なバッテリ電圧およびモーター電流を使用した高電圧テストのシミュレーション環境

車載充電器のパワーHILテスト

実際の電流と電圧を用いたモデルベースのグリッドエミュレーションにより充電機器をテスト

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