新型コロナウイルスがまん延する年においても、さまざまな課題を克服

ウォータールー大学代替燃料チームが戦略を再考

The University of Waterloo Alternative Fuels Team (UWAFT) is represented by engineering and business students from the University of Waterloo and Wilfrid Laurier University with backgrounds in controls development, electrical and mechanical engineering, communications, autonomous vehicles, user interface design and other fields of study. (This photo was taken before Covid-19-related restrictions.)

物理的なコンポーネントを入手できない場合、どのようにパワートレインを再設計したらよいでしょうか。新型コロナウイルスの世界的流行により、エンジニアリングやビジネスを学ぶウォータールー大学やウィルフリッド・ローリエ大学の学生は、EcoCARモビリティ・チャレンジに関するさまざまな活動の中止を余儀なくされてきました。これらの学生は2019年型シボレーブレイザーを再設計中でしたが、6ヵ月以上もの間、出走車両に近づくことができませんでした。

そこで、ウォータールー大学代替燃料チーム(UWAFT)は、すべての活動を停止するのではなく、戦略を変更することにしました。同チームは、開発のソフトウェアの側面に焦点を当てることにより、作業を前進させ進歩を続けています。

UWAFT推進制御およびモデリング担当共同リードのTeodor Crnobrnja氏は、「当チームは、ソフトウェアだけでも多くのことができるとすぐに分かりました。そのため、作業の重点は変更されましたが、遅延はほんのわずかでした」とし、「私たちはテストオプションの自動化について調査を開始し、競争戦略、テスト手順、タスク分析、および長期計画を改善することができました」と述べています。

EcoCARモビリティ・チャレンジは4年間の競技会であり、次世代のモビリティソリューションを開発する実務経験の場を工学系の学生に提供しています。UWAFTは北米の12の大学チームの1つであり、2019年型シボレーブレイザーに先進的な推進システムやコネクテッドカーおよび自動運転車両向けのテクノロジを導入することにより、エネルギー効率、安全性、および消費者アピールの向上を目指しています。競技会は現在、3年目(2020~2021)に入っています。

独自の再設計機能

The Controls Team troubleshoots the high-voltage battery pack installed in the trunk of the Chevrolet Blazer.

UWAFTは、出走車両に極めて機能的なハイブリッドドライブシステムを搭載するための再設計を行っています。車両には、リアアクスルモーターによって動力が供給されます。この独自の構成により、車両制御に取り組む学生達は、消費者が期待する走行性能を維持しながら燃費を最大化できる強固なエネルギー管理方式の開発に注力することができました。

彼らの再設計では、エネルギー消費を最小限に抑えるためのカスタム温度管理システムや制動時におけるモーターの回生機能が実装されました。さらに、SAE Level 2の自律性能を実現するカスタム認知システムやコントローラも車両に内蔵されました。

UWAFT推進制御およびモデリング担当共同リードのCole Tofflemire氏は、「利用者が運転支援機能とやり取りできるヒューマンマシンインターフェースも追加しました」とし、「これによってユーザーエクスペリエンス全体が向上することを期待しています」と述べています。

同チームは、検証および妥当性確認(V&V)の手順に従い、車両の統合タスクを含め、カスタム設計されたこれらの機能を入念に検査しました。

Tofflemire氏は、「私たちはV字型モデルに沿ったソフトウェア開発を行っています」とし、「私たちは、ハードウェアのテストに移行する前に、ソフトウェア環境で徹底的にコードの妥当性を確認するようにしています。ある時点でコードが標準化されたチームの要件やテストケースに照らして不合格となった場合は、ハードウェアや車両で妥当性を確認できるまでソフトウェア環境でコードを評価し直します。私たちはMATLAB/Simulinkと共にdSPACEのツールや装置を使用することで工程を非常に合理化することができました」と述べています。

現在および今後の課題の克服

新型コロナウイルスにより出走車両に近づけなくなり、直接的な作業が限定される中、同チームは通常の競技会の年をはるかに上回る難しい課題に直面しました。

UWAFTのプロジェクトマネージャであるAshad Bhatti氏は、「私たちは重要なハードウェアのテストを実施して、さらにソフトウェア開発の妥当性を確認すべき段階でしたが、直接的な手作業は最小限に抑えなければなりませんでした」とし、「ただし、AutomationDeskなどのツールを活用してハードウェアのテストプロセスを合理化することにはかなりのリソースを投じました。私たちはワークフローを確立し、継続的な統合プロセスを実現することにより、直接的なテストを行うことなくVehicle-in-the-Loopの段階に移行できるようにしたいと考えています」と述べています。

チームメンバーは、車両のモーターを動作させ、すべてのシステムが適切に機能していることを確認しようと何日間にもわたって推進制御の課題に取り組みました。しかし、課題をピンポイントで特定して解決するにはテストが必要でした。現在、チームは後部の車両システムが動作することは報告していますが、車両前部のシステムにさらに多数のテストを実施する必要があります。

Teodor Crnobrnja氏は、「新しいコンポーネントには、車両内の制御モジュール間でのさまざまなフィードバックが必要であり、それが当チームの現在の課題の1つです」とし、「完全な動作のためには、各モジュールで適切なデータを確認できなければならず、それができなければ車両はすぐに動かなくなります」と述べています。

UWAFTがdSPACEのシミュレーションツールを活用

During a training session held at dSPACE, UWAFT students Ryan Tanary and Joe Ye establish digital & analog interfacing utilizing dSPACE MicroAutoBox II and dSPACE HIL hardware with a RTICANMM block set.

UWAFTでは、試験用ソフトウェアであるdSPACE ControlDeskやテストオーサリングおよび自動化ツールであるdSPACE AutomationDeskだけでなく、ラピッドプロトタイピングシステムであるdSPACE MicroAutoBox IIや標準化されたdSPACE HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレータも使用して、ソフトウェア制御を開発するチームをサポートしています。

同チームでは、MicroAutoBox IIを使用して、既製の複数の電子制御ユニット(ECU)との間や自動化された車載ハードウェアとの間で通信する車両向けのハイブリッド監視コントローラを開発しています。また、HILシミュレータを使用して、車載テストの前段階でECUをシミュレートしています。Bhatti氏は、これらのハードウェア製品をControlDeskやAutomationDeskと組み合わせることにより、強力なHIL(Hardware-in-the-Loop)テストが実現すると述べています。

ソフトウェアからハードウェアへ容易に移行

dSPACEツールは、MATLABおよびSimulink環境と密接に統合できるため、同チームは作成したソフトウェアを容易にハードウェア環境に移行することができました。

Crnobrnja氏は、「これは、多くの人が経験できることではない贅沢な状況です」とし、「これにより、シミュレーション環境とリアルタイム環境の間ですばやくテストを実行できるため、チームが自信を持って実車での正常動作を確信できます」と述べています。

チームメンバーは、HILシミュレータとMicroAutoBox IIを組み合わせることにより、数分以内でシミュレーションの妥当性を確認できました。また、AutomationDeskの各種機能を使用してより高度なテストや妥当性確認を行うことで、遠隔地や現場での開発環境をさらに合理化することができました。同チームでは、競技会の前倒しに備え、こうしたすべてのツールの性能を最大限に活用しつつ、開発およびテストを進めてゆく予定です。

Bhatti氏は、「dSPACEが提供するツールは、常に当チームの期待を超えるものでした」とし、「これらのツールを適切に使用すれば強力なソリューションになります。手順についても、最初に学習すれば、その後の操作はスムーズで簡単です」と述べています。

実際のEcoCAR体験を求めて

EcoCAR競技会では、各チームでさまざまな修正箇所が発生するため、大変な労力が必要になりますが、それがあるからこそ、若いエンジニアにとってこのイベントが魅力的な行事になっています。UWAFTのメンバーたちは、EcoCARモビリティ・チャレンジへの出場を選択した理由を次のように語っています。

「ウォータールー大学に入学した際、単に学位を取得して進級したいとは思いませんでした。むしろ、いくつかの現実的な課題を経験しながら絶えず自分自身に挑めるような場所を見つけたいと考えていました。そして、UWAFTでそのような環境を見つけました。これは他では得られない経験です。」

Teodor Crnobrnja氏、UWAFT推進制御およびモデリング担当共同主任

「エンジニアリングの厳しい課題を深く掘り下げ、問題に正面から取り組むことによって自分の知識を向上させられる機会を探していました。そして、EcoCARへの参加は、これを達成する最善の方法でした。EcoCARは、技術的な能力だけでなく、ダイナミックなチーム環境で管理や指導を行いながら実務も担えるスキルを有する人材を生み出します。私は初日から、主任たちに備わったこれらの資質を垣間見ながら、自分もそうなろうと必死に努めてきました。」

Cole Tofflemire氏、UWAFT推進制御およびモデリング担当共同主任

「私は大学一年時にEcoCARモビリティ・チャレンジに参加すると決めました。大学のキャンパスには自動車設計チームの広告が多数ありましたが、私にとっては各分野の多様な課題が参加者に提示されるEcoCARが印象的でした。それ以来、私は何でもすばやく実践できる環境に感心し、機会があればすべての学期で作業に取り組むほど夢中になりました。」

Ryan Tanary氏、UWAFT推進UWAFT自動運転コネクテッドカーチーム主任

「EcoCARに参加したのは、ちょうどバッテリ研究ラボでのインターンシップを終了した頃でした。このチームは、自分の研究が結実する製品についてさらに学び、自分に欠けていると感じていた貴重なエンジニアリングの経験を与えてくれる場であると思いました。EcoCARでは、最終的にそうした機会とすばらしい友人たちを得られただけでなく、極めて困難な諸々の課題に取り組む喜びも在学中に味わうことができました。」

Haocheng Zhang氏、UWAFTハイブリッド車両制御主任開発者

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