テキサス大学オースティン校では、自動運転システムに関する画期的な学術研究を促進するため、全面的に統合された高精度なドライビングシミュレータを利用しています。これには、dSPACE SCALEXIOシステムが含まれています。
テキサス大学オースティン校は、車載Driver-in-the-Loopシミュレータの設置を無事に完了しました。同校のWalker Department of Mechanical Engineeringは、北米で最も有名な研究機関の1つであり、自動運転制御システムのパフォーマンスに関する研究を行っています。ここでは、dSPACE SCALEXIOベースのHIL(Hardware-in-the-Loop)テストセットアップに人間のドライバーの入力を追加するため、モーションベースのCruden AS1システムを使用しています。
ASMツールスイートのビークルダイナミクスモデルおよびトラフィックモデルは、マルチエージェントシミュレーションをサポートしており、まったく新しいレベルのDILシミュレーションの実現を可能にします。
同校では、HILおよびDIL(Driver-in-the-Loop)システムを組み合わせた車載シミュレータの実現を希望していました。そのためには、多数の運転環境と車両タイプを可能な限り現実に近い形で容易かつシームレスにレンダリングできるカスタムユニットの構築が必要でした。そこで、同校は、既に所有していたモジュール型リアルタイムハードウェアシミュレーションシステムであるdSPACE SCALEXIOやdSPACE Automotive Simulation Models(ASM)ツールスイートの車両モデルやトラフィックモデルとCruden社のシミュレータを統合することにしました。このシステムを使用すると、高度なビークルダイナミクスを含む自車のトラフィックシナリオを同時に複数評価することが可能なマルチエージェントシミュレーションが実現します。ここでは、複数の自車同士で相互通信を行うシナリオを用いて、V2Vアプリケーションの開発を行うことも可能です。この統合型システムでは、DILシミュレータが主観的-客観的シナリオ分析において極めて重要な役割を果たしています。また、これは将来のモビリティプログラムの研究に関する業界初の導入例と言えます。このシステムでは、人間が関与する複雑なトラフィックシナリオを活用し、シミュレータ制御によって現実世界をリアルに再現することができます。
同校では、Accenture寄付講座教授で機械工学部のモビリティシステムラボの責任者であるJunmin Wang教授の協力を仰ぎながら、このシミュレータの仕様を策定しました。同校は、あらゆる変数を統合できる高度な仕様と優れた柔軟性を持つこのシステムを通じて、より多くの自動車OEMメーカーや一次サプライヤと将来の研究開発プロジェクトで緊密な関係を構築できるものと期待しています。
同校では、Accenture寄付講座教授で機械工学部のモビリティシステムラボの責任者であるJunmin Wang教授の協力を仰ぎながら、このシミュレータの仕様を策定しました。
Wang教授は、「Cruden社のシステムを使用すると、自動運転制御システムのテストや妥当性確認を独占的に行えるだけでなく、より広範な研究対象として人間の行動をリアルタイムに繰り返しモニタリングおよび確認することで、システムとの相互作用を確認することができます。このシステムの優れた柔軟性と可用性を用いてハードウェアとソフトウェアを連携させることにより、正確に再現された車両、一般的な運転環境、およびドライバーが直面する可能性のある多数のシナリオを反復的に調査し、計測することが可能です。」と述べています。
教授はさらに、「テキサス大学オースティン校は、この種の動的なモーションベースシステムを有する米国では数少ない大学の1つです。当学部は、このシステムを通じて将来の自動運転テクノロジに関する研究を加速させています。私達はこれまで、専門的な知識や技術を学生達に習得させることを企業側から求められてきましたが、こうした特殊なツールを使用することで、コネクテッドワールドの時代に通用する次世代のエンジニアを育成できると考えています。」と述べています。
Wang教授は最後に、「このシミュレータは、他の学部がさまざまな事例について研究する場合にも役立っており、心理学、運転時や医療分野における人間の行動パターンなどの研究、さらには安全な制御された環境でドライバーの身体機能が損なわれた場合の副作用のテストなどに活用されています。」と述べています。
Cruden社のCEOであるMaarten van Donselaar氏は、「テキサス大学オースティン校に当社の先進的なシミュレータを設置することにより、デスクトップシミュレーションからOEMメーカー、一次サプライヤ、および世界クラスの学術機関に至るまで、エンジニアのほぼすべての業務ニーズに柔軟に対応できる当社のシステムを示すことができます。革新的なシステムを備えた当社のモーションベースのシミュレータを使用すると、ビークルダイナミクスや動的な環境、および人間の行動パターンをまったく新しいレベルの高い精度で評価することができます。当社は同校へのサポートを喜んで継続し、学生と企業のいずれにも対応した真の21世紀型の学習プラットフォームを提供したいと考えています。」述べています。
ASMツールスイートは、現実的な車両操作シミュレーションを実現するための基盤となります。
Van Donselaar氏はさらに、「ASMビークルダイナミクスモデルを使用することで、考え得る最高の車両操作シミュレーションを幅広いシナリオで実現できます。DILシステムにASM Trafficを統合すると、実際の交通状況が提供されるため、まさに現実と同じ方法で車両の運転支援システムやドライバーを他の車両と相互に連携させることができます。」と述べています。
MotionDeskにより、マルチエージェントシミュレーションシナリオのリアルな全体像を把握することができます。
Cruden社およびdSPACEでは、テキサス大学オースティン校に設置されているものと同じ高品質なコンテンツ、3Dレンダリング、モーション、および実際の車両ハードウェアを備えた完全なドライビングシミュレータパッケージを提供しています。このパッケージでは、ADASシステムと潜在意識下で対話することが可能な前例のないレベルのイマージョン(没入感)を実現しています。このシステムは多数の外部ADAS開発パッケージと互換性があり、LiDARベースのシナリオを含むデータベースやOpenDRIVE、OpenCRGをサポートしています。
テキサス大学オースティン校およびCruden社のご厚意により寄稿。
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