発表日: 2020年05月08日 |
Thomas Michalsky, Senior Manager Engineering Services, dSPACE GmbH
超音波パーキングセンサを使用して車両上で物体の検出状況を直接テストできれば、どれほどすばらしいことでしょうか。言い換えれば、センサを取り外すこともなく、車両や車載バスシステムに変更を加えることもなく、そして特に車両自体も車両の前後にある物体も一切動かすことなく、機能テストを総合的に行えるということです。dSPACEでは、このようなテストシステムである「モバイル超音波センサテストシステム」を提供することができます。
このシステムでは、パーキングシステムの製造メーカーや使用するバスシステムを問わず、プロトコルがCAN、LIN、FlexRay、車載Ethernet、または独自のものであっても問題ありません。最も重要なことは、車両に一切介入しないこと、そして物体の距離を正確に調整して指定し、それを超音波センサが適切な距離の有効オブジェクトとして認識する極めて精巧な方法でセンサにスティミュラス信号を入力できることです。そのため、これらを何も動かさずに行うことができます。
dSPACEテストシステムを使用すると、超音波センサを用いて多数のテストシナリオを実現することができます。
超音波変位センサの機能は、さまざまな状況でチェックする必要があります。これは、プラントまたは車両の改変の一環として標準的な機能テストとなります。たとえば次のようなものがあります。
また、シミュレートした環境を用いて変位センサや接続されている制御ユニットの機能をテストするという複雑なテストシナリオを適用することも可能です。
このモバイルテストシステムは、高性能FPGAやリアルタイムプロセッサを含むdSPACE SCALEXIOリアルタイムシステムで構成されています。実際のパーキングセンサが出力する超音波信号は、FPGAおよび関連するADチャンネルに接続されたI/Oモジュールによって処理されます。この手法は超音波エコー信号の生成に適用されており、信号はFPGAに接続されたDACチャンネルによって生成されます。
dSPACE側でエコー信号を計算する場合のトリガ信号には、車載センサおよび出力された超音波信号が使用されます。センサの動作モードを同期化する必要はなく、センサが送信モードであるか受信モードであるかは関係ありません。その代わり、パーキング制御ユニットとセンサの通信はデコードされます。
dSPACEのセンサとシグナルジェネレータは、実際のパーキングセンサに無線で接続されます。dSPACEセンサは、dSPACEの取り付けブラケットを使用して車両前部に設置されます。車両側には接続機構は不要です。
お客様の要件に応じて、同時に最大12個のパーキングセンサにスティミュラス信号を入力することができます。dSPACEのマウントは、さまざまな車両設計における各種センサの取り付け位置に対応できるよう、十分な柔軟性を備えた設計になっています。
dSPACEでは、単一センサ用のマウントや、複数のdSPACEセンサを固定するためのマウントを提供しています。
今日、変位計測システムは駐車操作中のドライバーを視覚的または聴覚的にサポートするために使用されています。最新のシステムは、視覚的および聴覚的なサポートをはるかに超えて、ドライバーの安全性や快適性の向上を実現するための積極的なサポートを提供しています。超音波センサテクノロジを使用して車両の至近距離を総合的かつ確実にモニタリングすると、特に次のような支援システムをサポートすることができます。
一般的に、車載超音波センサは通過時間計測の原理に基づいて動作しています。つまり、超音波送信信号が変位センサから検出対象物(オブジェクト)に到達し、このオブジェクトからの反射信号として変位センサに戻るまでに必要とされた時間を計測します。自由空間における超音波の伝播速度が既知である場合、変位センサと検出対象物間の距離は、超音波距離センサの放射範囲内であることが必要ですが、これは直接計測できます。
In the vehicle, the simulated object distance, which is at the front right in the following example, is shown in the multifunctional display. In this case, the set object distance in ControlDesk is 37 cm.
お客様の要件に応じて、dSPACE試験ソフトウェアであるControlDeskでオブジェクトの距離とともにパーキングセンサのスティミュラス信号入力を対話形式で正確に指定したり、dSPACE ASM Trafficによる環境シミュレーションで動的に距離を計算したりすることができます。
モバイル超音波センサテストシステムでは、車載超音波センサによって生成された信号を、特に超音波周波数や信号の振幅に関して自動的に解析します。シミュレートするオブジェクトの距離に応じて、これらの特性を基に信号が正確に再現され、車載センサにスティミュラス信号を入力するエコー信号として遅れて生成されます。
このテストシステムでは、直接的または間接的なエコー信号を計算することができます。間接エコー信号は、テスト対象のセンサの前部にdSPACEセンサ付きのdSPACEセンサマウントを設置するだけで生成できます。また、複数のエコーもサポートしています。
ISO 17386:2010は、MALSOシステム(MALSO:Maneuvering Aids for Low Speed Operation、低速域周辺障害物警報)の下での性能要件およびテスト手順について説明しています。
この規格は、ドライバーがオブジェクト検出から一般的に期待できる最小限の機能要件、つまり定義された(短い)検出範囲内にある関連障害物の存在の検出とそれに関する情報の要件を規定しており、エラー報告や性能テストの手順に関する最低限の要件を定義しています。また、一般的な情報提供方法の規則も含まれていますが、情報や表示システムのタイプは限定されません。
ISOに準拠した一般的な手法では、超音波センサの規定検出範囲内にある固定グリッドで直径7.5 cmのロッドを動かすテスト手順について規定しています。つまり、ISO-MALSOテスト中は、車両の前後でテストオブジェクトを動かす必要があります。
dSPACEのモバイル超音波センサテストシステムを使用すると、実車上でこのテストをシミュレートすることができます。環境シミュレーションでは、ISOの仕様に従ってシミュレートするISOロッドをさまざまに動かします。また、計算された車両とオブジェクトの距離は、実際の車載センサにスティミュラス信号を入力するためのシミュレートされたエコー信号として使用されます。実際のエコー信号の計測値は車両とオブジェクトの距離に関する妥当なフィードバックとして、ドライバーが聴覚的に利用できたり、機器によっては視覚的に利用できたりする必要があります。
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