効率的なデータロギングに関する8つのヒント

発表日: 2021年12月16日

Patrik Morávek博士、自動運転およびソフトウェアソリューション担当プロダクトマネージャ、dSPACE GmbH

私たちは日常生活において、作業の簡素化のためにリストを活用しています。当社では、高度に自動化された自動運転車両の開発に向けてデータロギングを始めているお客様向けに、効率的なデータロギングおよびそれに関連するツールに不可欠な8つのヒントをリスト化して提供します。これらのヒントは当社の専門家チームの幅広い経験に基づいており、考え方を誤ると浪費することになる時間と労力を省く一助となります。

データロギング:ADAS/ADのデータドリブン開発における出発点

Data logging in the data pipeline and the cycle of data-driven development.

データロギングをより詳しく見る前に、ADAS/ADの開発プロセス全体における関係性を考えてみましょう。データドリブン開発をデータパイプラインと考える場合、データロギングはその1つの基本的な要素とみなすことができます。これはパイプラインの出発点であり、その後にはデータインジェスト、データ解析、データ選択、データアノテーション、データリプレイテストなど、総合的なテストや妥当性確認が必要なソフトウェア開発のさまざまなステップが続きます。データはテストドライブの際にも記録できます。これは私たちにとって2つのことを意味します。まず、データロギングは独立したプロセスではありません。次に、データロギングは開発の出発点であるため、データロギング時の対応はその後のすべてのステップに強い影響を与えます。

リスト:8つのヒント

それでは、効率的なデータロギングに関するヒントのリストに移りましょう。これらの8つのヒントでは、必須項目ではないがやはり重要なポイントをいくつか取り上げています。

# 1:センサに注力する

新しいデータロギングプロジェクトを開始する際は、まずセンサの特性を詳細に確認します。センサにはさまざまな種類があり、センサによる情報の読み取り方に関する規格は残念ながら存在しません。これは特にカメラセンサに当てはまります。そのため、データの記録を開始する前には、使用するデータロガーが適用可能なインターフェースやデータ形式をサポートしているかどうかをまず確認してください。サポートしていない場合は、別のロガーを選択します。その際は、センササプライヤからの詳しい情報が必要になるため、そのような情報を入手できるかを確認します。

# 2:自らツールを評価する

皆様が既にご存知のように、極めて激しい競争市場であるADAS/AD分野の開発プロジェクトにおいて最も重要なのは開発期間の短縮です。つまり、さまざまなツールを試してみる潤沢な時間はありません。また、予算を掛けて実際に使ってみる必要もありません。必要なのは、すぐに確実に動作し、使用目的に合致するソリューションを見つけることです。また、遅延につながるため、コンポーネントの欠陥があってはいけません。そして、信頼性に優れた同期機能や、膨大な量のデータを総合的に表示できる機能も必要です。つまり、サプライヤから提供された参考資料を確認したうえでツールを選ぶ必要があります。そのソリューションが十分に機能し、お客様の環境に統合できることをサプライヤに証明させてください。その場合に最も良いのは、皆様の要件に合わせて概念実証を行うことです。これにより、そのソリューションの適合性を確認できます。

# 3:オープンな統合型ソリューションを見つけ出す

「相互に補完するよう」作られていないツールを統合するのは困難です。そして、それには時間もかかります。データロギングハードウェアは、関連するソフトウェアツールと統合することが特に重要です。設定しなくても高レベルで統合でき、お客様がご使用のツールやプロセスに容易に接続できるオープンなインターフェースを備えたソリューションを探してみてください。これにより、時間を浪費することなく、市場投入時間を短縮できます。

# 4:先々のことを考える(拡張性および柔軟性)

プロジェクトの喫緊の課題を解決するために、すぐに役立つデータロギングソリューションを探したくなるのはわかります。しかし、ソリューションの選択に際しては、将来の要件にも常に目を配ることが重要です。要件が厳格化し多様化する可能性があるためです。このような要件に対応できるソリューションを選択してください。この場合、拡張性は極めて重要です。拡張性に優れていれば、まずは小型または中規模ソリューションから開始し、その後これを拡張して将来の要求に対応できるようになります。インターフェースと(インターフェースからのデータ処理に必要な)処理能力は、拡張性に直結する要素となります。

# 5:処理能力は高い方が良い

高い処理能力を実現できるようなプランを立ててください。これは、拡張性確保のためだけでなく、将来のソフトウェア要件に対応するためにも必要です。データロギングにおいて、最も最適化できるのはソフトウェアです。分析できるデータが多いほど、データの理解度が向上し、データサイクル管理の効率性が高まり、その際に十分な処理能力があれば、車両でインテリジェントなデータフィルタリングを実行してデータ量を削減することができます。データロギング以降の作業に関連するデータのみを選別して保存することを全体的な目標としてください。

# 6:能力の増大と複雑性の低減

多数のデバイスを接続すると、エラーの可能性は高まります。少数のコンポーネントだけで構成された一元型のデータロギングソリューションを探してみてください。このようなソリューションでは、データはまとまった状態で維持できます。また、必要なスペースも少なくなります。これは、特にハードウェア機器を置く場所が限られている車載用途にとって重要です。

# 7:優れたフリートとデータ管理ソフトウェアを見つける

データロギングプログラムで収集された膨大な量のデータを処理するには、優れたデータ管理ソフトウェアが明らかに必要です。交通状況を記録する現場の車両が5台でも100台でも、その数にかかわらず、皆様は車両がどこにあるか、流れがスムーズか、そしてプログラムが期待通りに動作しているか、といったことを知りたいと思うでしょう。つまり、お客様ごとの計画、目標、および指標に応じて、それらの達成状況を追跡できることが必要です。

# 8:データパイプライン全体を考慮する

前述のように、データロギングは常により大きなコンテキストの一部です。記録されたデータはデータパイプラインのさらに下流で所定の目的を果たします。そのため、ハードウェアやソフトウェアのさらに先、そして車両のさらに先、つまり、開発プロセス、AIトレーニング、(データリプレイテストなどの)テストで収集されたデータの実際の目的を念頭に置いてください。また、常にデータサイクルの短縮化を試み、車両からデータサイエンティストに至るまでのシームレスなデータフローを確立することで、プロセスを効率化します。そのためには、ファイル形式の一貫性やインターフェースの互換性に注意してください。

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