お客様のECUソフトウェアはAUTOSAR規格への移行後も正しく機能するでしょうか。

発表日: 2016年11月02日

Chris Grigas、アプリケーションエンジニア、dSPACE Inc.

AUTOSARは北米の自動車市場でますます普及しつつあります。結果として、多数の企業が既存の電子制御ユニット(ECU)ソフトウェアをAUTOSARへと移行する作業に取り組んでいます。ここでは多くの場合、新たな規格に準拠させるための多数の構造の手直しや、コードの書き換えが必要になります。コードが以前と同様に機能することを保証するには、これらの変更のすべてを徹底的かつ効率的にテストする必要があります。

dSPACEの仮想検証テクノロジは、コードの徹底的なテストを保証する上で極めて重要な役割を果たしています。仮想検証により、エンジニアはアプリケーションのSIL(Software-in-the-Loop)レベルでアプリケーションレイヤー全体の機能検証を実施することができます。仮想検証は、バーチャルECUと呼ばれる仮想的に再現したECU、VEOSと呼ばれるPCベースのシミュレーション環境、およびHIL環境と仮想環境で同じdSPACEツールチェーンを使用できる機能など、さまざまな要素を必要とします。

VEOSは任意のデスクトップPC上で実行できるシミュレーションエンジンであり、多数のさまざまな環境から成果物をシミュレートできる機能を備えています。VEOSはSimulink®のモデル、Functional Mockup Interfaceを介してインポートしたモデル、AUTOSAR 3.xベースのコード、AUTOSAR 4.xベースのコード、および手書きのCコードを実行することができます。VEOSでは、環境内で実行されているすべてのモデル間の同期およびデータ交換の処理が行われます。また、シミュレーションの実行速度を実際の時間よりも速めたり遅くしたりすることが可能です。このため、シミュレーションの実行速度を速めてより少ない時間でより多くのテストを行ったり、シミュレーションをゆっくりと段階的に実行してコードをデバッグしたりすることができます。

バーチャルECUを使用すると、アプリケーションレイヤーのソフトウェアの全部または一部を仮想的に再現してカプセル化し、AUTOSAR Run Time Environment(RTE)やOSなど、下位レベルのECUソフトウェア機能のシミュレーションを組み込むことができます。また、バーチャルECUはA2L変数記述ファイルを使用し、XCP on Ethernetプロトコルで接続して、実世界での一般的な実ECUの接続方法を再現することもできます。

さらに、バーチャルECUでは、ソフトウェアですでに実行中のSILテストを拡張することができます。たとえば、個々の機能のSILテストを実行できるだけでなく、すべての機能を組み合わせた統合テストや、通信スタック、不揮発性RAMマネージャ、ECUステートマネージャなどの下位レベルのソフトウェアコンポーネントを使用した機能の統合テストを実行することもできます。RTEではクライアント/サーバ通信などの複雑なAUTOSAR通信仕様をモデリングできるため、これをシミュレートすることにより、現実的な方法でこのような機能の統合をテストすることができます。

dSPACEのツールチェーンでは、VEOSやバーチャルECUテクノロジを利用して、現在AUTOSARに移行中のアプリケーションをテストできます。多くの場合、AUTOSARへの移行は段階的に行います。最も一般的な2つのステップは、1)AUTOSAR準拠のラッパーにレガシーコードをラッピングし、2)AUTOSARラッパーを使用したレガシーコードのソフトウェアコンポーネントをAUTOSARに完全に準拠したソフトウェアコンポーネントと組み合わせるというものです。dSPACEでは、レガシーコードからAUTOSARソフトウェアコンポーネントを容易に生成できるレガシーソフトウェア統合ソリューションを提供しています。このソリューションでは、自動的に正しいProvide/Requireポートが生成され、コードに記述した関数から正しいランナブルが生成されます。

これらの場合ではいずれも、個々のソフトウェアコンポーネントの機能だけでなく、アプリケーション全体もテストできることが重要であり、VEOSを使用したテストではそうしたテストが可能です。シナリオ1の場合は、Legacy Software Integrationツールを使用すると、既存のコードからバーチャルECUを生成し、ソフトウェアコンポーネントの機能をテストすることができます。シナリオ2では、シナリオ1のレガシーソフトウェアコンポーネントを再利用して他の完全にAUTOSAR形式のソフトウェアコンポーネントと統合し、さまざまなソフトウェアコンポーネントの通信および相互作用の妥当性を確認することができます。

dSPACEのテクノロジは、お客様のソフトウェアをAUTOSARに移行する際に、複数の方法でこれをサポートします。dSPACE Legacy Code Integrationソリューションを使用すると、ポートやランナブルの設定を含むレガシーコードから、AUTOSAR準拠のソフトウェアコンポーネントを自動的に生成することができます。このソフトウェアコンポーネントは個別にテストすることも、またはバーチャルECUの一部として他のレガシーソフトウェアコンポーネントまたはAUTOSARコンポーネントのいずれかのソフトウェアコンポーネントと統合することも可能です。dSPACE VEOSとバーチャルECUのテストにより、AUTOSARのRTEやOSと一緒にアプリケーションレイヤーのソフトウェアをシミュレートして、SWC間の通信やRTE RunnableのOSタスクへのマッピングを現実的にモデリングおよびテストすることができます。

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