Tier 1サプライヤにとって、OEMへのECUの納期遵守は非常に重要です。納期遅延はプロジェクトのスケジュールに影響を与えるだけでなく、関係を悪化させ、コストを増大させる可能性もあります。ソフトウェアの複雑さと統合の課題が最も重要なソフトウェアデファインドビークル(SDV)の時代では、従来の検証方式は多くの場合で不十分です。本記事では、ECUの納期が遅れる一般的な5つの理由と、SIL(Software-in-the-Loop)テストによってサプライヤが納期を守りながら品質も向上できる方法について詳しく説明します。

1.ハードウェアのボトルネック

問題点

多くの場合、開発サイクルの初期段階では、ECUやテストベンチを物理的に使用することができません。ハードウェアの調達とセットアップに時間がかかり、統合と検証に遅れが生じます。

SILの活用方法

SILは、物理ハードウェアをdSPACE VEOSなどのスケーラブルなシミュレーションプラットフォーム上で動作するバーチャルECU(V-ECU)に置き換えます。これにより、ハードウェアを待つことなくアプリケーションソフトウェアや統合タスクの早期テストが可能になるため、開発を加速させ、シフトレフト戦略をサポートすることができます。

2.ソフトウェアの複雑化

問題点

最新のECUには、複数のアプリケーション、ミドルウェアレイヤ、OSカーネルが搭載されています。頻繁なアップデートと機能追加により、統合の複雑さが増大します。

SILの活用方法

SILを使用すると、仮想環境でソフトウェアレイヤの検証をインクリメンタルに行うことができます。開発者は、さまざまなV-ECUレベル(L1~L4)を使用してアプリケーションロジック、ミドルウェア、さらにはOSの動作をテストできるため、ハードウェアの統合時に不測の事態が発生するのを防ぐことができます。

ソフトウェアデファインドビークル(SDV)の電気/電子(E/E)アーキテクチャを、その阻害要因と課題とともに示した模式図。

この課題を身近に感じたら

3.スケーラブルなテスト環境の欠如

問題点

従来のHILセットアップはコストがかかり、並列テストのための拡張が困難です。これによりスループットが制限され、回帰テストに遅れが生じます。

SILの活用方法

SIL環境は、デスクトップ、サーバ、またはクラウド上で実行することができ、何千ものテストの並列実行が可能です。CI/CDパイプラインと組み合わせると、継続的インテグレーションおよび検証をサポートし、システムレベルのテストでボトルネックを削減できます。

dSPACE SILツールを使用した継続的インテグレーション/継続的デリバリー/継続的テスト(CI/CD/CT)パイプラインの概要

4.統合上の問題発見の遅れ

問題点

インターフェースの不一致や通信エラーは、ハードウェアの統合中に初めて表面化することが多く、コストのかかる修正作業が発生します。

SILの活用方法

SILは、仮想バスシミュレーション(CAN、LIN、Ethernet)およびレストバスモデリングをサポートしており、早期のインターフェースおよび診断テストが可能です。SystemDeskやVEOSなどのdSPACEツールは、プラントモデルやV-ECUをシームレスに統合し、ハードウェアが届く前にロバストな検証を行うことができます。さらに、ASMやAURELIONなどのdSPACE製品は、センサシミュレーション、トラフィック、パワートレイン、およびビークルダイナミクス向けの極めて高精度かつ詳細なモデルを提供することで、セットアップを充実させます。このため、クローズドループのSIL環境は、包括的なテストに特に便利で強力なものとなっています。

5.仮想化の落とし穴

問題点

多くの企業は仮想化の労力を過小評価し、ワンクリックで解決できると思っています。部門間の連携が不十分であったり、目標が不明確であったりすると、遅れが生じる場合があります。この問題は、総合的なテスト戦略と、テストケースを実行するための明確に定義された計画がないために頻繁に発生します。意図したテストシナリオに完全なコード統合が必要ない場合でも、そのようなコード統合を達成しようとするのが一般的ですが、最適なアプローチではありません。

SILの活用方法

検証目標を定義し、適切な利害関係者を関与させ、一般的な落とし穴を回避できるように、dSPACEでは体系的なV-ECUワークフローおよびコンサルティングを提供しています。

  • SILセットアップのためのチェックリスト駆動型アプローチ
  • 自動化ツール(SystemDesk、VEOS、ControlDesk、AutomationDesk、SIMPHERA)
  • SILとHILの連続性により実ハードウェアへのスムーズな移行を実現
Tier 1サプライヤにとっての主な利用効果

Tier 1サプライヤにとっての主な利用効果

  • ハードウェアなしでの早期検証:SILでは、ハードウェアプロトタイプの入手前でも新しいECU機能の検証が可能です。これにより、不具合の検出やバグ修正サイクルの時間を大幅に短縮することができます。
  • 大規模なテストプログラムに対応できるスケーラビリティ
  • エラーの早期発見によるコスト削減
  • ISO 26262への準拠をサポート
  • CI/CDパイプラインとの統合

dSPACEのノウハウの活用方法

dSPACEのノウハウの活用方法

長年にわたる経験を有するdSPACEは、次の製品とサービスを提供しています。

  • V-ECUおよびモデル向けのシミュレーションおよび統合プラットフォーム(VEOS)
  • V-ECUを作成できるSystemDesk
  • テストとオーケストレーションに使用できるControlDesk / Automation SDKおよびAutomationDesk
  • 分散チームのためのクラウド対応ソリューション
  • SIL導入をスムーズに開始できるエンジニアリング、コンサルティング、およびトレーニング

重要である理由

SILは単なるツールではなく、考え方であり、プロセスです。正しく実装すれば、ECU開発は、ハードウェアに縛られるというボトルネックを持つワークフローから、柔軟でスケーラブルかつ効率的なワークフローへと変化します。

SIL(Software-in-the-Loop)の可能性を最大限に引き出す準備は整っていますか

SILがコスト削減、リスクの最小化、スムーズなECU納入プロセスの実現にどう貢献できるかをご確認ください。可能性を一緒に探ってみませんか。今すぐご連絡いただければ、お客様のニーズに最適なソリューションをお探しいたします。

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著者について

Kevin Reim

Kevin Reim

Manager Business Development – New Products and Topics, dSPACE

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