発表日: 2015年05月06日 |
Bret Detrick
上級アプリケーションエンジニア、dSPACE Inc.
この記事は、スタッフビット、終了処理、および物理レイヤートポロジに至るCANの詳細な知識を持った方々を対象に書いたものではありません。このブログはより上位のレベルで書いています。この記事を読んだ読者は、CANやCAN FDの話が出る打ち合わせで自信を持ってうなずき、「うんうん」と相槌を打てるようになることを望んでいます。
CANについてそれほど詳しく知らない人は、大まかに言ってCANとは車載ネットワークでECUどうしをリンクするために使用される最も一般的な通信バスであると考えてください。ECUは何かECUとは、Electronic Control Unit(電子制御ユニット)の頭文字です。ECUは車の各部を制御するコンピュータです。自動車の機能が高度になるにつれて、より多くのECUが必要になり、これらのECU間でより多くの通信が必要になります。約20年間、CAN(Controller Area Network)は標準プロトコルとしてこれらのECUのネットワークに使用されてきました。
この技術についてすでに詳細な知識がある人にとっては、1つのCANバスのデータ転送用量がかなり前から不十分であったことは周知の事実です。現在、自動車メーカーは3、4、5、またはそれ以上の数のCANバスを車に搭載しており、その管理がますます困難なものになってきています。いくつかの競合する技術は存在しましたが、そのどれもがCANの持つ簡潔性、柔軟性、そして最も重要である低コスト性にはかないませんでした。新しい技術への移行は、人が新しい言語を習得するようなものです。ここでCAN FDが登場します。FDとは、Flexible Dataレートのことを表しています。
これについて簡単に説明するには、CANを非常に簡単な用語で説明する必要も出てきます。CANバスでは、1つのECUはバス上の他のすべてのECUにメッセージをブロードキャストできます。これはボーレートと呼ばれる一定の速度で実行されます。このボーレートは、電気技術者だけが理解できる事柄によって制限されています。現代の自動車では、ボーレートは実質的にほとんど限界に来ています。ただし、メッセージの部分はより高速なボーレートで転送できることが決定されています。
その理由:CANメッセージは、調停とデータの2つの部分から成ります。調停の部分は、複数のECUが同時にメッセージを送信しようとした場合に、一定のルールに従ってどのECUが送信できるかを決定するために使用されます。この調停部分は、ほとんどがボーレートの制限事項に起因するため、現在のボーレートにもそのまま残されます。メッセージのデータ部分とは、1つのECUのみが話すことを許可され、他のすべてのECUがそれを聞く必要がある部分です。この部分は、従来の10倍以上に増やしても問題ないことが決定されています。
従来より長いデータペイロード(メッセージごとのデータ量の増加)やパーシャルネットワーキング(一部のECUで速いレートを無視)など、他にも話題はありますが、ここではウィキペディアの二番煎じになることは避けたいと思います。
CAN FDは、2017年モデルまたは2018年モデルの車から見られるようになります。実際は、車の外側から見えるものではありません。しかし、当社ではCAN FDについてお客様からそろそろ問い合わせが来ても良い頃ではないかと期待しています。
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