サービスロボットは、病院で高まる職員不足を解決するソリューションとなり得るものです。ただし、その導入に際しては、事前に広範囲なテストを受ける必要があります。これに向け、Korean Testing LaboratoryはdSPACEツールを用いてシミュレーション環境を開発しています。
病院におけるサービスロボットの重要性
サービスロボットは医療現場のさまざまなタスクを代わりに引き受けることができ、専門スタッフたちの負担を軽減することができます。これらのタスクには、病室の清掃や準備、薬の配布、手術中のサポート業務、医療機器や医薬品の搬送などがあります。サービスロボットも含めた医療用ロボットの世界市場は、2020年の60億米ドルから2025年には130億米ドルへと倍増することが見積もられています。 1)
KTLの紹介
Korean Testing Laboratory(KTL)は韓国の公的なテストおよび認証センターであり、韓国で販売される電子機器に対しKCおよびKC-EMCの両認証を発行する業務も行っています。同機関は、ロボットの安全かつ効率的な利用を保証するためのさまざまなテストを実施しています。これらのテストは、サービスロボットの潜在的なリスクを特定し、それらが必要な品質および性能基準を満たしていることを保証するよう設計されています。
認定の要件
病院などの繊細な配慮を要する場所でサービスロボットを使用するには認証取得が求められますが、その要件は世界各地で異なります。韓国でロボットの認定取得に必要とされるのは、KC認証(KCマーク韓国認証)
やKC-EMC(電磁両立性)認証が必要です。これらは、ロボットが韓国の安全規格に遵守していることを保証する規格です。
たとえば、認定取得済みのロボットなら電磁両立性が保証されているため、病院にとりわけ多く存在する高感度の電子機器に障害を与えることはないということです。
実際の建築計画から仮想的な病院環境へ
病院やその他の医療機関で使用するサービスロボットの開発やプログラミングは、開発・テスト期間中にさまざまな課題が突き付けられる複雑な作業です。中でも、自立走行ロボットの安全かつ安定した移動は確約されていることが重要です。つまり、ロボットが障害物を認識して反応できなければならないということです。
また、ロボットがその動作中に人を危険な目に遭わせたり、物体に損害を与えたりすることもあってはなりません。
とは言え、効率的に作動することも同時に必須となるため、ロボットには病院の標準的ワークフローやプロセスについて豊富な知識を所持していることが求められます。それゆえ、ここで理想的なソリューションとなるのが、ロボットの動作をさまざまなシナリオを用いて開発の早期の段階で総合的にテストできる3Dシミュレーション環境です。
KTLではdSPACEと協力し、サービスロボット向けのソフトウェアをテストできるシミュレーション環境を開発しました。KTLが特にテストしたいと考えていたのが、人工的な環境における自動運転の制御アルゴリズムと機能でした。
ModelDeskとAURELIONにより、病院環境をモデリング
仮想世界を現実として構築するため、KTLは実際の録画映像や建築計画を使用して、dSPACEソフトウェアであるModelDeskおよびAURELIONにて病院環境をモデリングしました。
ModelDesk は、シミュレーション制御、直感的なモデルパラメータ設定、およびパラメータセット管理のためのグラフィカルユーザインターフェースです。さらに、このソフトウェアはプロジェクト管理機能も備えており、パラメータセットをオフラインおよびオンラインシミュレーション中にダウンロードすることができます。 AURELION は、センサのシミュレーションとビジュアル表示向けの総合的なソフトウェアソリューションです。AURELIONでは、認知機能や運転機能の開発、テスト、および妥当性確認のプロセスにおいて、現実的なセンサデータを統合することができます。KTLのサービスロボットのシミュレーションに際しては、総合的なdSPACE ASM(Automotive Simulation Models)ライブラリも一翼を担いました。
モデリングされた4階建ての病院環境では、ロボットは廊下に沿って移動するだけでなく、独力でのエレベータの使用というさらなる難題がありました。そこで、KTLはModelDeskのストリートエディタを用いて各階の廊下を経路として定義しました。また、環境モデルを拡張してエレベータでの移動をビジュアル表示し、ソフトウェア実行中に必要な経路変更を生成しました。このように、KTLはdSPACEと密接に協力し、病床や点滴スタンドなどの高品質な3Dオブジェクトを完備した仮想的な病院を作成しました。これらのオブジェクトはライブラリに保存されているため、エンドユーザが個別に適用することも可能です。
シミュレーションにおいては、ロボットは多様な物体を各種のセンサで捉えて、それらを避けるのか、あるいは1か所にじっとしているのか、適切かつ明確に反応する必要があります。また、ロボットのセンサは文字を認識し、例えば特定の部屋の「立ち入り禁止」の標識などを見分けられなければなりません。シミュレーション環境は、必要に応じてエンドユーザが調整できます。KTLでは、このような手法を通じて、ロボットの検証を幅広い適用事例を用いて総合的に行えるようになりました。
サービスロボットのタスク数が増加
KTLでは、極めて現実的なdSPACEのシミュレーションソリューションを用いることにより、個別にカスタマイズ可能な仮想病院環境にて、さまざまな韓国メーカーのサービスロボットをテストおよび認証しています。このような認証システムはロボットの品質と安全性への信頼を強め、さまざまなお客様の採用をも促進します。こうした流れの中、病院内や他の医療機関におけるサービスロボットの利用に対する障壁が緩和されていくのです。