発行元: dSPACE Magazine 1/2011, May 2011

Spennebergさん、dSPACEが宇宙技術 の分野で目指してる目標とはなんでしょう か。

dSPACEシステムは、非常に多くの航空 宇宙用途で使用されています。私たちはこ れを誇りに思い、これらの用途に対応する 製品範囲を拡大することを計画していま す。最も注目しているのは、姿勢/軌道制 御やエネルギー管理のような衛星サブシ ステムの受入テストをサポートすることで、 これらの分野における戦略的な成長を目 標としています。

これらの適用分野に注目している理由は 何でしょうか。

姿勢/軌道制御システム(AOCS)は最 新の衛星に搭載されている最も複雑なコ ンポーネントの1つです。現実的なシミュ レーションのために、太陽風のように非常 に影響が小さいものであっても、衛星に影 響を与えるすべての要因を極めて正確に モデル化する必要があります。さらに、多 数のセンサ(恒星追跡器、磁気探知器な ど)およびアクチュエータ(リアクションホ イール、磁気コイルなど)をシミュレーショ ンに組み込む必要があります。

dSPACEは、必要なノウハウを持っていま すか。

dSPACEの持つ成熟したツールチェーン がサポートするシミュレーションでは、こ のように複雑なシステムに対しても信頼性 の高いテストを実施できます。dSPACEの HIL(Hardware-in-the-Loop)シミュ レータは、自動車産業では事実上の業界 標準となっており、その能力は、日々の厳 しい課題に対応する中で証明されていま す。HILシミュレータの運用実績は、世界 最高のレベルであることは間違いありませ ん。これが強固な基盤となって、宇宙技術 関連のお客様向けのソリューションを構 築することが可能となっています。また、 業務の中で専門知識を積み重ねるため に、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のよ うな研究機関とも積極的な協力を行って います。

お客様の理解を得るために、どのような働 きかけをしているのでしょうか。

新しい分野に参入する場合は常に、最初 の一歩が最も難しいものです。当社のシス テムは、信頼できる出発点であり、それに ついて疑う余地はありません。たとえば、 米国では既にNASAなどのお客様を獲得 しています。ただ、宇宙技術には特殊な要 件があり、当社がその一部にまだ対応でき ていなことも確かです。しかし、多数の新 しい要件を含む非常に複雑なプロジェク トをお客様と密接に連携して成功させるこ とで、優れた実績を上げています。そして、 当社には、通常の製品範囲にはない完全 に新しいソリューションを短期間で開発で きる、非常に高い技能を有するエンジニア リング部門があります。たとえば、ホンダ のビジネスジェット機に搭載されているす べての航空電子システムに対応するシミュ レータの開発実績があります。

「当社はHILシステムを提供する最大手ベンダーの1つとして、将来の技術にも対応 できる開発ツールを宇宙技術関連のお客様に提供できます」

既に開発に入っている製品には、どのよう なものがありますか。

具体的には、当社のHILシステム上で衛星のシミュレーションをリアルタイムで行 うための新しいシミュレーションモデルを 開発しています。これには、AOCS関連の センサシステムおよび衛星に影響を及ぼ す環境がすべて含まれています。これらの モデルはECSS(欧州宇宙標準協会)規 格への適合に向け、外部の専門家による 妥当性の確認も行われています。同時に、 当社では、衛星用のコンポーネントと dSPACEシステムの間で最適な接続を提 供するためにインターフェースボードの範 囲を拡大しています。最新の例としては、 MIL-STD-1553インターフェースボード があり、SpaceWireバス向けのインター フェースソリューションがまもなく登場す る予定となっています。HILテストに関して は、dSPACE標準の高品質なターンキー システムを提供することができます。

衛星メーカーは、独自のモデルとシミュ レータを持っていないのでしょうか。

シミュレーションモデルは、数多くの企業 で中核的な専門技術の一部となっていま す。しかし、衛星メーカーが独立系パート ナー企業からモデルの提供を必要とする こともよくあります。dSPACEシミュレータ は、宇宙産業で広く使用されている特殊な ソリューションに替わる製品として価格的 な面で優位性を持っています。これは、当社が毎年数百台のHILシミュレータを納 入していることで証明されています。さら に、製品ポートフォリオを絶え間なくアッ プデートすることで、提供するテクノロジ が最新のものであることを保証していま す。したがって、宇宙技術関連のお客様 は、当社のように幅広い業界に対応したベ ンダーでなければ提供できない総合的な 高品質ツールから利益を得ることができま す。当社はHILシステムを提供する最大手 ベンダーの1つとして、宇宙技術関連の お客様に将来の技術にも対応できる開発 ツールを提供できます。

今後の方針はどのようになっていますか。

当社は、お客様、ならびにDLR(ドイツ航 空宇宙センター)およびESA(欧州宇宙 機関)からの専門家と密接に連携して助 言を受けながら、製品範囲の拡大を続け ています。こうした連携により多くの人々 が関与することを望んでおり、問い合わせ をいただいたあらゆる団体を招待して、新 しいアイデアと意見の交換を行っていま す。お客様が満足されるまで、私たちが満 足することはありません。

 

インタビューにご協力いただき、ありがと うございました。

Dr. Dirk Spennebergは、dSPACE GmbHで、2010年に衛星テストシス テム事業推進部の管理職に就任しま した。dSPACEに入社するまでは、ド イツのブレーメンにあるDFKI GmbH (ドイツの人工知能研究所)で宇宙ロ ボット事業分野を担当していました。

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