航空機に乗っている時に、乱気流をほとんど感じない状態を想像できますか。あるいは、ほぼすべての気候条件を通して、安定的に配達できるドローンについては?空軍研究所とデイトン大学は、このような未来に向けて協働しています。

最新の航空機の開発が進み、無人航空機(UAV)がひそかに配送の主流になってきていたり、エアタクシーという未来が現実味を帯びる可能性すらある現在、それの長期的な成功を支えるには、突風力学が翼や回転プロペラに与える影響を考察することが極めて重要です。より静かで穏やかな飛行には何が必要かを解明するため、空軍研究所(AFRL)のエンジニアであるMichael Mongin氏は、デイトン大学(UD)の大学院生たちと協力して、dSPACE MicroLabBoxを使用した実験を行っています。
デイトン大学のAFRL出資による研究では、翼が突風に遭遇した場合の、それを取り巻く流れ場の物理特性を究明することを目指しています。突風と翼とが相互に作用する際に、なぜ特定の動きや動特性が生じるのかについて、AFRLとデイトン大学は物理特性そのものをダイレクトに紐解くような手法を用いて、流れ場で起きる変化を理解したいと考えていました。この仕組みがいったん本質的に把握されれば、その情報は突風との衝突を通り抜けて飛行するコントローラの設計に利用できることになります。

流れ場の理解

Mongin氏は、「私たちはより深いレベルで動特性を理解し、将来的な応用方法を解明しつつあります。そして、規模の異なる突風が吹く中を通り抜けて飛行できるコントローラの設計に向け、現在収集中の情報をさまざまに活用しており、ある程度の高比率でコントローラに、突風の渦を除去または軽減させられるレベルまで近づいているところです。私たちは、大きなインパクトを生み出すのに十分な理解を手にできる領域に迫っています」と述べています。この試験は、2020年に生まれたアイデアを基に設立されたラボで開始されました。Mongin氏とデイトン大学のラボは、dSPACE MicroLabBoxを用いて突風発生装置を作成し、突風を試験的に誘発させて、所定の動きが翼に与える物理的影響をクローズドループ制御によって調査しました。同氏は、「私は流れ場を実際に見て物理特性を把握したかったので、MicroLabBoxは目的を達成できる優れた手段でした。非常に慣れ親しんだプログラミングアーキテクチャであるSimulink®を用いて、ラボ用コントローラや制御構造を記述および開発したら、それらを単に投入、接続するだけで試験が実行できますから。私たちにとって試験の立ち上げと実行、そしてそれに修正を施し、諸要素をすばやく実装するまでが、とてもシンプルな作業でした」と述べています。

試験:不安定な空力の制御

学生たちは、突風渦を発生させるため、突風発生装置を一定期間動作させるプロファイルを設計しました。この突風渦には高いせん断勾配があるため、下流の試験対象物に複雑な問題が発生します。試験対象物(翼)の役割は、それを動かしているコントローラと連携して揚力の変化を感知することです。この揚力に応じて、翼はそれらの変化に対抗するように向きを調整し、どのような揚力値が設定されたとしても、その角度を維持しようとします。学生たちは、翼にゼロ揚力を維持するよう指示するか、あるいは単に完全に静的な揚力プロファイルを維持するよう指示を出します。

Mongin氏は、「突風が翼に当たると、突風が吹く間中、翼はピッチを下げてこのゼロ揚力を維持しようとします。学生たちが飛行条件と等しい揚力を維持したい場合は、0.5 Clをターゲットに設定しますが、これは航空業界において一般的な巡航条件で飛行中の翼に掛かる揚力を維持する場合と同じです」と説明しています。

突風が翼に当たると、翼では揚力が増大します。翼のセンサが変化を感知すると、翼は静止状態を保つ代わりに、コントローラの設計のとおりに、突風が翼に当たっている間はピッチを下げます。翼は突風が吹き終わるまで同じ揚力を維持していますが、角度に関しては一定を保つわけではありません。翼はクローズドループPID制御によって、そうした影響を軽減するためピッチの向きを自由に変化させます。

MicroLabBoxを試験セットアップの原動力として活用

Mongin氏は、「MicroLabBoxがラボに導入され、それを用いてコントローラを設計できるようになる以前は、研究者達はウィングピッチ用のオープンループのプロファイルを考え出さなければなりませんでした。そのため、完璧なモデルを用意し、所定のプロファイルを実行したうえで、突風をどの程度軽減できたのかを分析する必要がありました。しかし今では、「この量の揚力をターゲットに」と指示すれば、コントローラがループに修正を加えて、私たちが求める軽減効果を達成してくれます。そしてこれは、私たちがこれまで作業を反復したりコントローラをひねり出したりするよりも短時間で実行されるのです。これはもし対象が車両だったとしても、同様に理想的に機能するでしょう」とし、「MicroLabBoxは、私たちの試験セットアップのあらゆる要素を文字通り駆動させるもので、さまざまな作業を容易にしてくれるだけでなく、手作業の実験よりもスケーラビリティがはるかに高く、より多くのことができるようになります。MicroLabBoxは、最新のコントローラ開発やラボ環境での用途全般に最適です」と、

MicroLabBoxの高い有用性を複数の理由を挙げて強調します。同氏はさらにMicroLabBoxの使いやすさを力説し、試験において高精度なタイミングでハイスピードカメラを起動させることもできるため、特定の瞬間を誤差なしで気軽に捉えられると付け加えます。このように、MicroLabBoxの信頼性の高いタイミング性能と優れた入出力機能が明らかになり、MicroLabBoxが空力設備における適切な選択肢であることが証明されました。

The researchers use an open or free surface, a water channel, where the water itself is moving through the tank. The current experiment is carried out with a gust generator and a flat plate that lies upstream which performs a predetermined movement. For the experiments in this study the flow velocity inside the tunnel was set to 0.28 m/s and the test article used was a flat plate constructed of borosilicate glass with dimensions of 3-inch (0.076m) chord and 6-inch (0.152m) diameter.

The MicroLabBox controls four elements in the laboratory: the PIV camera trigger, the gust generator, the wing control, and the aerodynamic force feedback.

将来の航空機設計に関する研究

これらの試験の結果は、将来の航空機設計の進展につながる可能性がありますが、現在は突風や強風が吹く中を飛行するUAVの能力は限られているため、それら非営利プラットフォームは限られた飛行条件のみでしか使用できないという限界があります。しかし、そうした限界を押し広げることができれば、旅客を乗せる航空交通にとってはさらなる大きな恩恵となりそうです。Mongin氏は、「将来的に、これは商用プラットフォームに展開され得ると思います。突風を軽減する方法を解明できれば、乗客の快適レベルは向上しますし、航空機には突風や嵐といった条件下でも離着陸できるよう進展していく可能性があるかもしれません」と述べています 。

現在、AFRLとデイトン大学は、さらに多くの試験を計画しています。たとえば、従来の航空機に負荷セルを搭載すれば、翼が揚力を発生させている際にその力を直接計測できるのですが、もちろんこれは現在の飛行機にはありません。翼の根元にフォースセンサを搭載すれば、翼に正確な揚力を与えることができます。そこで研究者が試みているのは、圧力センサやその他のセンサを翼に組み込んで、「いま何が起きているのか」に関する十分な情報を提供できるように計らい、それらの制御ループを記述し、可能な場合は翼に直接適用するということです。これは将来、航空機のサイズの大小にかかわらず、突風を受けた後の揺れを低減できるコントローラになるでしょう。

デイトン大学のご厚意により寄稿
dSPACE MAGAZINE、2024年3月発行

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