77GHzで動作する車載長距離レーダー(LRR)センサは、将来の支援運転または自動運転向けソリューションにドライバーアシスト機能や衝突回避機能を実装するうえで、紛れもなく重要な要素です。これらの機能の実装には、LRRセンサによる環境検出においてクリアしなければならない技術的課題があります。環境検出には高い空間分解能が必要であり、視野を拡大すると同時に、より小さな物体をより正確に検出しなければなりません。また、このすべてを約1 GHzの最大帯域幅で行う必要があります。自動運転車両のシナリオでは、認識エラーや誤解釈が致命的な結果につながります。そのため、信頼できる機能を実現するためには、センサを超高精度で徹底的にテストすることが必須となります。
レーダーターゲットシミュレーション – 精度と汎用性
レーダーターゲットシミュレータを用いて車載レーダーセンサのレーダーターゲットやエコーを無線でシミュレートする手法は、十分に実績のある手法です。これは今までも各種のセンサや開発済みのアプリケーションソフトウェアが適切に動くかどうか確かめるために、またはセンサの開発、量産、およびリリースといったさまざまな段階で活用されてきました。当然ながら、レーダーターゲットシミュレータには、機能としてはレーダーターゲットを正確にリアルタイムにシミュレートできることなどが求められます。ただし、運用のしやすさや将来的にも適用可能かなど、実用上の要件も満たす必要があります。

The high precision and accuracy are, of course, also offered by the DARTS 9040-G, which was voted Product of the Year in the Automotive category by the readers of Elektronik magazine.
厳格なテストシステムの要件
現在の、特に次世代の77 GHz LRRレーダーセンサをテストする場合、最大で300 mに及ぶ検出範囲全体をレーダーターゲットとして正確にシミュレートしなければなりません。そして、検出範囲全体で均質な特性と精度を備えたシミュレーション機能を保証するには、新しいセンサとセンサにまつわる機能を総合的にテストし妥当性確認する必要があります。さらには、複数の独立したレーダーターゲットを自由にシミュレートできるテクノロジも求められ、テスト対象レーダーの変調に左右されないことも確保しなければなりません。
高精度のデジタルレーダーターゲットシミュレーション
dSPACEでは、dSPACE開発パートナーであるITS 社およびmiro•sys社の専門的なノウハウも活用し、高精度デジタルDARTS 9030-Mを開発しました。この製品では、1.2 GHzの帯域幅を提供し、75 GHz ~ 82 GHzの周波数レンジにも対応します。また、5.5 mから1,000 mまでの全シミュレーション範囲で距離ステップが一貫して6cmであり、シミュレーション精度の誤差が1 mm未満であるという事実もこの製品の精度を表しています。この精度は、60 dB以上のダイナミックレンジにおいて有効です。さらに、マルチターゲットシミュレーション機能にも目を向けると、この製品のデジタルコンセプトの利点が一層明らかになります。つまり、この製品では信号品質を低下させることなく、別個のターゲットを最大4つまでシミュレートすることが可能です。dSPACEでは、DARTS 9030-Mの機能をソフトウェアアップデートによって向上することにも注力しています。これらのアップデートが実現されれば、シミュレーション距離を高速で切り替えられるようになります。近日発表される詳細情報に引き続きご注目ください。
製品の特長:車載レーダーセンサの無線テストに対応したレーダーターゲットシミュレータ
- 1 GHzの高精度レーダー向けに最適化
- 距離、相対速度、幅、および高度をシミュレート
- 自由に定義できる最大4つの独立したレーダーターゲットの反射をシミュレート
- 広範囲でのシミュレーション精度を保証