V2Xテクノロジを搭載した最初の自動車が実用化されましたが、このような競争は始まったばかりです。今後数年で、協調的な環境認識と運転を実現する次世代のアプリケーションが導入され、従来型の運転だけでなく自動運転車両の効率性や快適性、安全性は向上してゆきます。これからは、次世代のV2Xやコネクテッドカーのテストが必要となりますが、これには高度なHILシミュレーションが求められるため、困難なタスクとなります。
集合的認識と呼ばれるV2Xの進化における次の段階では、車両が自動車やインフラなどの「他者の目を通して見る」ことや、車両自らのセンサで検出できない歩行者、自転車、障害物などの道路利用者に関する情報を収集することが可能になります。集合的認識のテストでは、柔軟でスケーラブルかつ現実的なセンサシミュレーションだけでなく、インフラストラクチャのサポートによる、より詳細な環境シミュレーションが必要です。協調運転が実現すれば、さらに一歩進んで、意図された車両の軌道を共有し、リアルタイムに他の交通利用者と運転操作を調整できるようになります。協調運転機能の妥当性を確認するには、多数の車両を使用して膨大なシナリオを処理する必要があります。このため、シナリオベーステストなど、シナリオに合わせたコンセプトやテストの開発が不可欠となります。
先進的なV2Xアプリケーションとネットワーク接続された自動運転機能のテストおよび妥当性確認においては、最先端のHILシステムと柔軟なV2X通信用シミュレータを適切に組み合わせることが重要な要素となります。
新たなdSPACE V2X Solution for HILを使用すると、Nordsys社のwaveBEE®hive V2XシミュレータおよびADAS/AD向けのSCALEXIO HILシステムをシームレスに統合することができ、これにより、V2X Day Oneからコネクテッド自動運転車両(CAV)に至るまで、車両、環境、およびインフラストラクチャの高度なシミュレーションを必要とする幅広いアプリケーションをテストできるようになります。
V2Xシミュレーションシステムは、欧州、米国、および中国の関連規格に加え、現在利用可能なデバイス間通信のテクノロジである802.11pおよびLTE-V2Xをサポートしています。このシステムはいわゆるV2Xマルチスタック機能を搭載しており、フルV2Xスタックと組み合わせて並行動作させれば、車両や路側機といった多数の通信局をシミュレーションで使用できるようになります。これにより、スケーラブルなソリューションを実現できるため、協調運転などの極めて複雑なシナリオに適しています。また、このソリューションには集合的認識メッセージの実装案も含まれているため、集合的認識のアプリケーションを早期の段階から開発することが可能です。V2Xシミュレータでは、通信の保護/非保護を選択できます。また、シミュレータは動的なチャンネル減衰によって補完されるため、高いチャンネル負荷などのより現実的なチャンネル条件下でテストを行うことができます。そのため、短期間に何百というメッセージがブロードキャスト送信された場合のV2X ECUの輻輳制御を分析できます。
dSPACEでは、新規または既存のHILテスト環境への統合を容易に行えるよう、標準化されたV2Xアプリケーションプロトコルベースの専用のSCALEXIOインターフェースブロックセットを提供しており、waveBEE®hiveとの統合を可能にしています。これらのソリューションをASMツールスイートと組み合わせて使用すれば、協調運転の使用事例に不可欠な多数の周辺車両を含むカスタマイズされたソリューションを実現できます。さまざまなタイプのセンサやオープンなインターフェースを使用した多様な詳細度を持つセンサシミュレーションの場合も同様です。さらに、dSPACEが提供するシナリオ生成機能やシナリオベースのテスト機能を使用すれば、作業負荷も削減されます。このソリューションでは、最終的にASM/ModelDeskにおいてインフラストラクチャもサポートされる ため、専門知識がなくてもモデルの交差点の空間的配置や信号機の状態に関するデータをV2X通信にスムーズに受け渡し、MAPやSPaTなどの複雑なメッセージタイプも適切に処理できるようになります。
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