電動化モビリティは、もはや乗用車に限られたことではありません。電動のトラック、バス、およびその他の大型車両の路上走行が増加するにつれ、1つのことが明らかになってきています。充電テクノロジも継続的な向上が必要ということです。ここで役立つのが メガワット充電システム(MCS) です。MCSは、大型電動車両の高出力なコンダクティブDC充電の国際規格です。巨大なバッテリパックを適切な時間内に充電できるよう設計されており、充電率は1MWを上回ります。このため、MCS規格は3,000Aの最大電流と1,250Vの最大電圧を規定し、最大3.75MWの出力レベルを可能にしています。当初は大型商用車用に設計されたものでしたが、その可能性は航空宇宙産業、海洋産業、農業用途など、はるか先へと広がっています。乗用車の充電と同様に、電気自動車(EV)と充電ステーション(電気自動車給電機器、EVSE)間のスマートな通信もMCSの重要な要素となります。MCSの場合、この通信はISO 15118-20プロトコルと10BASE-T1S車載Ethernet技術をベースとしており、どちらの技術も当社のSmart Charging Solutionによってサポートされています。
同時に、電力インフラ、つまりパワーグリッドとの接続が、特にMCSにおいてはますます重要になっています。これに対処するため、ISO 15118-20通信プロトコルでは、 ダイナミックチャージング(走行中給電) として知られる負荷調整モードを導入しています。このモードにより、充電ステーションは現在のパワーグリッドの状況に合わせて対応できるようになります。これに対し、 スケジュール充電 モードはISO15118-2で既に確立されているモードで、車両からの要求を優先します。
タスク:MCS充電における通信の検証
信頼性の高いメガワット充電を実現するには、EVと充電ステーション間の通信を徹底的にテストする必要があります。この使用事例では、電動トラックなどの大型車両の 電気自動車用コミュニケーションコントローラ(EVCC) のテストに重点を置いています。そのために、充電ステーションのコミュニケーションコントローラ( 給電機器用コミュニケーションコントローラ、SECC )を制御されたテスト環境でシミュレートします。これにより、開発者は実際の充電ステーションにアクセスすることなく、充電プロセス中のEVCCの動作を検証し、微調整することができます。
当社のSmart Charging Solutionでは、MCSセットアップにおけるEVCCとSECC間の通信および電気インターフェースの正確なシミュレーションと操作が可能です。
技術的課題
メガワット充電に取り組む開発者にとって、EVCCのテストは複雑なタスクです。MCSの通信は、 ISO 15118-20 や 10BASE-T1S など、タイミング要件が厳密で高データレートの複雑なプロトコルやテクノロジを必要とします。
実際のMCS充電ステーションを開発の初期段階で利用できることはほぼ皆無であるため、現実的な条件下でのテストは困難です。また、さまざまなEVSE構成との相互運用性を確保し、エッジケースをシミュレートすることで、さらに複雑さが増します。開発者は、コントローラのロバスト性を確保するために、幅広い充電動作、故障状態、エッジケースをシミュレートする必要があります。適切なツールがなければ、これらの課題によって開発が遅れ、コストが増大し、市場投入時間が遅延する可能性があります。
dSPACEのソリューション
MCSテストの課題に対応するため、dSPACEは、関連する充電通信や電気インターフェースを検証するための強力なエンドトゥエンドのソリューションを提供しています。当社のSmart Charging Solutionを使用すると、開発者はEVと充電ステーション間の通信や電気インターフェースをシミュレートおよび操作することができ、実際の充電インフラを利用する必要がなくなります。
一般的なテストセットアップには、 Smart Charging Plug Simulator MCS 、 DS5366 Smart Charging Interface 、および SCALEXIO HILシステム が含まれます。これらのシステムはメガワット充電システムのSECC側をエミュレートし、MCSの動作に必要な信号を提供します。MCS固有のテストケースの試験は、すぐに使用可能な ControlDesk レイアウトによって単純化されます。このセットアップにより、当社のソリューションは現実的で再現可能なテストシナリオを、障害条件下でも実行することができます。加えて、当社のソリューションは、既にISO 15118-2に規定されているプラグアンドチャージ(PnC)や、ISO 15118-10に定義されている10BASE-T1S車載Ethernetなどの主要な充電機能をサポートしているため、高出力レベルで迅速かつ安全に充電する必要がある大型電動車両のテストに最適です。
ECUのさまざまな開発段階で充電通信のテストをサポートするため、dSPACEソリューションは、ISO 15118-20で公式に要求されている TLS 1.3 暗号化から、ISO 15118-2で知られているTLS 1.2、または暗号化なしのテストシナリオに至るまで、暗号化処理に柔軟に対応しています。さらに、dSPACEソリューションは、ISO15118-2およびISO15118-20で定義されている スケジュール充電 モードやISO15118-20で導入された ダイナミックチャージング(走行中給電) モードもサポートしています。
また、実際の出力に関しては、dSPACEはMCS向けにカスタマイズされた パワーレベル充電テストシステム も提供しています。
このエンドトゥエンドのテストソリューションにより、開発者は開発プロセスを加速させ、相互運用性を確保し、堅牢で将来性のあるMCS充電システムの市場投入を迅速化することができます。