移動システムを開発する場合、対象が自動車、自転車または航空機であったとしても、まずテストすべきはブレーキです。ただし、車載テストを実行する際でも、検証や妥当性確認が済んでいないブレーキシステムでは誰も車載テストを実施したいとは思いません。
dSPACEは、実際のブレーキシステムコンポーネントを使用するテストベンチなど、幅広いテストシステムを提供しています。これらを使用すれば、電子制御で作動するブレーキシステム(Brake-by-Wireや電気ブレーキブースタなど)や個々のパワーエレクトロニクスコンポーネントを現実的な動作条件下でテストすることができます。
課題
電気自動車(EV)やハイブリットカー(HEV)には、革新的なテクノロジやコンセプトが備えられています。
たとえば、回生ブレーキは、車輪の運動エネルギーを貯蔵可能な電気エネルギーに変換し、後で使用できるようにします。
また、電子ブレーキブースタやBrake-by-Wireシステムは、必要な圧力とは関係なく、ペダルに必要な力を低減したり調整したりすることができます。これにより、大部分の制動エネルギーの回収(回生)が可能になります。意図したブレーキ操作において駆動モーターの電気エネルギーが不十分だった場合は、ブレーキディスクが直ちに制動動作をサポートします。このため、ブレーキブースタでは、制動エネルギーを駆動モーターからブレーキディスクへと移行させています。自動運転では、これらのシステムが完全に自動的にブレーキに介入することも可能です。
電子ブレーキブースタ方式では従来の油圧ブレーキシステムと電子制御式ブレーキブースタを併用するのに対し、Brake-by-WireコンセプトではElectric Driveによってブレーキを操作します。各車輪のブレーキアクチュエータとブレーキペダルとの間に機械的な結合はありません。
そのような複雑なシステムをテストする際には、総合的な妥当性確認手法によって適切な動作を保証しなければなりません。すべてのテスト対象コンポーネントが現実的に動作することを保証するには、極めて動的なメカトロニクステストベンチで補完したシミュレーションベースの手法が必要となります。
dSPACEのブレーキシステム向けソリューション
dSPACEは、現実的な動作条件下でブレーキシステム全体をテストできる広範なソリューションを提供しています。当社の製品は、SILテストからプロトタイピング、コード生成、信号レベル、パワーレベル、および機械出力レベルのテストに至るまで、開発プロセス全体をサポートします。当社のテストシステムは、コンパクトな既製のソリューションからカスタマイズされたモジュール型オプションに至るまで、それぞれが極めて高い柔軟性と拡張性を備えています。実際のブレーキコンポーネントを実装した高度に動的なメカトロニクステストベンチを使用すれば、開発の早期の段階で仮想テストドライブ向けの完璧なテスト環境を構築できます。
ラピッドプロトタイピング
HILテスト
パワーHILテスト
SILテスト
SIL(Software-in-the-Loop)テスト向け、PCおよびクラウドベースのシミュレーション用の強力なdSPACEソリューション
SIL(Software-in-the-Loop)テスト用のdSPACEソリューションでは、テストや妥当性確認を仮想環境で行うことにより、ソフトウェア開発プロセスを大幅に迅速化することができます。dSPACEは、モジュール型で拡張性に優れ完成された開発およびテストソリューションを提供しています。これを使用すれば、PC上でテスト対象デバイスを容易にシミュレートし、物理ベースのモデルに接続し、クラウドでスケーラブルなテストを実行できると共に、HIL(Hardware-in-the-Loop)システムでテストスクリプトを容易に再利用することができます。
バスおよびネットワーク通信
メカトロニクステストベンチ
量産ソフトウェア開発
シミュレーションモデリング
すべての開発段階をサポート
自動運転の分野において、これまで以上にセーフティクリティカルな機能を備えた複雑なE/Eシステムやソフトウェアを開発する場合の課題は、機能の信頼性をどのようにして保証するかということです。そのためdSPACEでは、機能安全、テストストラテジの開発、および複雑なE/Eプロセスの検証と妥当性確認のためのエンドトゥエンドのソリューションを提供し、プロジェクトの初期段階から認証までをサポートしています。
dSPACEシステムは容易に稼働させることができます。しかし、プロジェクトが複雑な場合、個別のソリューションを必要とする場合、または十分な時間がない場合などは、dSPACEの迅速で信頼性の高い優れたエンジニアリングサービスもご利用いただけます。