発表日: 2018年10月15日 |
Chandrasekhar Puliroju、ソフトウェアエンジニアリング部門チームリーダー、dSPACE Inc.
dSPACE AutomationDeskを長期にわたり利用してきたお客様に(ご自身を初心者とみなしている方も含みます)、テストの作成や実行方法を改善できる最新情報をいくつかお知らせしたいと思います。
dSPACEでは、AutomationDeskをお客様が簡単に使用できるようにするためのソリューションを開発しており、これを活用すると、お客様はより迅速かつ容易にテストケースやテストステップを作成することができます。このソリューションには、ベースとして標準テストオーサリングフレームワーク(TAF)が導入されています。
この新しいTAFを使用すると、テストの実行や管理、およびレポート作成の機能が向上し、テストプロセスの自動化をより簡単に行えるようになります。TAFを使用すると、AutomationDeskに習熟していないお客様でも、基本的なテストの作成をすばやく簡単に開始することができます。
AutomationDeskを習得していない方向けに、ここで簡単に概要をご紹介します。このツールを使用すると、テスト開発者やテストユーザがテスト環境を自動化することができます。また、ドラッグアンドドロップ機能を使用して、カスタムライブラリや各種のテストケースを作成することができます。このツールには、サードパーティ製ツールを含め、構成管理、バージョン管理、適合、診断ツールなど、テストに必要な各種のツールとのシームレスな統合を実現できるインターフェースが多数用意されています。自動化されたテストは、SILまたはHILプラットフォーム上で実行できます。また、カスタムライブラリ機能を使用すると、開発したテストケースを再利用することができます。
優れたグラフィカル環境を持つAutomationDeskでは、評価プロセスのパラメータを変更可能で、その変更を直ちに確認することができます。AutomationDeskでは、スティミュラス信号を定義し、マッピングおよび取得したうえで、公差やパラメータを評価します。その後、エラーの正確な発生場所を表示し、データ評価の全体像を示すレポートを自動的に生成します。
AutomationDeskは、当社製品の中で最も普及したソフトウェアアプリケーションの1つですが、一般的にユーザがこのツールをすばやく使用できるようになるにはトレーニングが必要です。新しいTAFでは、このトレーニング期間の大幅な短縮が可能です。
TAFの新しい表形式のインターフェースを導入すると、ご使用の環境にすばやくTAFを統合することができます。TAFに搭載されている新しいユーザインターフェースを使用すると、テストを表形式で作成することができるため、AutomationDeskのグラフィカルなブロックを使用して統合する必要がありません。この極めて容易に使用できる表形式を使用すれば、ユーザは基本的なテストをすばやく容易に作成することができます。
要点:このツールは、AutomationDeskの専門家でなくてもすぐに使用することができます。そのため、新しいチームメンバーでも、AutomationDeskの予備知識なしでテスト開発を始められます。
AutomationDesk
TAFが提供するもう1つの大きな利点は、優れたテスト管理機能です。フレームワークはdSPACEのデータ管理および連携ツールであるSYNECTで構築されているため、ユーザはトレーサビリティ、パラメータ管理、バージョン管理、バリアント処理など、SYNECTが提供するすべての利点を活用することができます。
モデルベース開発およびテストプロセス全体を見た場合、SYNECTを使用すると、(サードパーティ製ツールを含む)ツールチェーン全体を通じて要件の接続や管理をサポートできます。SYNECTでは、コンポーネント間のバージョンの統合管理が可能であり、開発プロセス全体を通じてモデル、信号、テスト、およびテスト結果を管理できます。
理解を深めるため、AutomationDeskとSYNECTの連携の仕組みに関する代表的なワークフローを下図に示します。この例では、テスト作成者が要件のレビューを行い、テストケースの開発を開始します。これらのテストケースは、TAFを使用してSYNECTで開発することができます。テスト作成者がテストケースを開発すると、この例では、テスト管理者がHILプラットフォーム上でテスト実行時間のスケジューリングを行います。スケジューリングが行われると、テストエンジニアはSYNECTをメインインターフェースとするHILシステムを使用して、AutomationDeskでテストを実行します。
SYNECTとAutomationDesk:テストオートメーションフレームワーク(TAF)のワークフロー
TAFを介してSYNECTのデータベース機能を利用すると、AutomationDeskのユーザは簡単にテストケースを管理し、他の開発者との共同作業を効率的に行うことができます。さらに、ユーザはテストのライフサイクル全体を通じて変更を追跡することができるため、パラメータバリアントを効率的に管理することができます。
また、既存のアプリケーションライフサイクル管理(ALM)ツールを統合すれば、SYNECTを介してテストステップを管理することもできます(IBM RQM、DOORS Next Generation、Polarion、HP Quality Centerなど)。ALMツールでは、各種の要件や問題、設定、リソースなどを管理することができますが、テストオートメーションをサポートしていないため、さまざまな制限が生じます。そのため、トレーサビリティの実現には追加の手作業が必要になります。しかし、TAFおよびSYNECTを使用すれば、この問題は解消されます。ALMツールからテスト結果に至るまでのトレーサビリティは、テストオートメーションによってサポートされるためです。
全体として、テストオーサリング機能が向上したdSPACEの新しいTAFを使用すると、次のようなAutomationDeskの中核的なタスクを実行する際に作業をより効率的に行えるようになります。
新しいTAFを使用するとすぐに得られる利点には、以下が含まれます。
新しいTAFソリューションを使用すると、さらに多くのオプションを利用することができます。このソリューションではSYNECTのライセンスが必要となるため、まだライセンスをお持ちでないお客様は、担当のアカウントマネージャまでお問い合わせください。
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