発表日: 2015年05月04日 |
現代の航空機では、航空力学的な制限や構造上の制限だけでなく、システムのテクノロジ的な制約も考慮された上で安全な飛行範囲が決められています。航空機の開発者は、飛行制御装置の各サブシステムの酷使を防ぐため、こうした制限の枠を守り、十分に安全なマージンを確保することにしています。現在、このような安全マージン、すなわち余裕性能は、高度に自動化された飛行制御システムでは実用化できておらず、技術革新の潜在的な可能性を秘めています。ハンブルク工科大学は、安全性を損なわずに飛行範囲内の飛行を保証し、余裕性能を実用化する新たな手法を分析するため、ULTRAプロジェクト(Unmanned Low-cost Testing Research Aircraft)を立ち上げました。このプロジェクトでは、大学で専門的なテストインフラストラクチャを使用して、仮想的または実際のテスト飛行を行っています。 必要なアルゴリズムの開発およびテストを、航空機のラピッドコントロールプロトタイピングとして解析することができます。
重要なソフトウエアコンポーネントは、MATLAB®/Simulink®に基づく検証済みの飛行シミュレーション環境を使用して、モデルベースで解析および設計します。これを実現するため、同大学ではdSPACEのリアルタイムシステムを中心とする強力なラボインフラストラクチャを導入しています。リアルタイムシミュレーションには、テスト飛行機の飛行力学モデルに加えて、環境、システム、およびセンサエミュレーション向けの各モデルも含まれています。安全飛行のための新機能をテストする際には、テスト飛行用のコンピュータ、センサ、アクチュエータといった実際のシステムコンポーネントの統合度に応じて、MIL(Model-in-the-Loop)、SIL(Software-in-the-Loop)、またはHIL(Hardware-in-the-Loop)シミュレーションを使い分けています。
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